日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第170夜 鷹を連れ帰る

先ほど、仮眠中に見た夢です。
 
夢の中の私は30歳になるかならないかの年齢です。
所要で、母校W大学の文学部を訪れました。
(これが夢の舞台となったのは、昼の間に実際に校門の前を通ったからだろうと思います。)
 
スロープを上がって、屋上に行きます。
屋上には3メートル四方のケージがありました。
学生が2人、そのケージを修理しています。
「おおい。こんにちは。どうだい具合は?」
「手こずってますね。破れがひどくて」
学生たちは、その大きなケージが敗れたので、修理をしているのでした。
「鳥はどこなの?」
「外の止まり木です」
屋上の反対側を見ると、3メートルくらいの高さの丸太が立てられています。
上が2つに枝分かれしており、その右側に大きな鳥が止まっていました。
体長が50センチを超える鷹です。
「あれで大丈夫なのかい?逃げたりしないの?」
「大丈夫です。ここから逃げても、どこにも行くところがないですし。少し弱ってるんですよね」
「そいつはいけないな」
 
もはや夕方で、学生たちが校門に向かって歩き始めていました。
「もうすぐ夜なんだから、今日はひとまずケージの中にいれて、また明日やれば?7時には門が閉まってしまうよ」
「まだ終わっていないんですよ」
「じゃあ、オレが閉門近くまで続きをやってやるよ。オレのほうが慣れているんだし。二人はもう帰りな。どうも御苦労さま」
学生二人は、案外あっさりと応じます。
「そうですかあ。すいません。ではお言葉に甘えて先に帰らせていただきます」
そう言うと、二人はさっさと帰ってしまいました。
 
ケージの中に入ってみると、天井部分が大きく破れていました。
「なんでこういう風に破れたのかな」
よくよく見ると、鉄製の網が外に向かってまくれています。
「これって、外側から網を引きちぎった跡だよな。どうしてこんなことに」
そのわけは、すぐにわかりました。
何気なく建物の外に目をやると、周囲の木という木にカラスが沢山止まっていました。
4、5百羽はいるでしょうか。
おそらくあのカラスたちが、ケージの中の鷹を襲おうとして壊したのです。
「いかに鷹だって、あの数のカラスが相手ではひとたまりもないだろうな」
心なしか、その何百のカラスたちが、皆こっちの方を見ているような気がします。
「こりゃまずい。このまま鷹を置いて帰ったら、次は破られてしまう」
ううん。どうしよう。
 
少しの間考えましたが、結局、その鷹を家に連れ帰ることにしました。
私の家には10メートル四方の大きなケージがあります。
試しにひゅうっと口笛を吹き、左手を揚げると、20メートル先の止まり木から鷹が飛んで来ました。
鷹は私のところまで来ると、差し出した腕に止まります。
鷹の爪は鋭いので、私は左腕に三重にタオルを巻いていました。
「あいつら。繋いでもいなかったのか。やっぱりね」
 
鷹は疲れている様子で、じっとしています。
昨日あたりは、外からのカラスの攻撃に対し防戦一方だったのでしょう。
このまま車のところまで行けば、私の車は大型の4WDで、後ろにスペースがあります。
そこに乗せよう。
 
校門に向かって歩き始めると、スロープが妙なことになっていました。
最初に上がった時は、確かにスロープだったのに、降りようとした時には、階段になっています。
しかも階段の途中が外側に飛び出したような形です。まるで、球面に階段状の刻みを入れたようなつくりなのです。よって、一番出っ張ったところから、下に降りるのは容易なことではありません。
普通に降りようとすると、下に落ちてしまいます。
「どうなっているんだよ。ロッククライマーでもなければ、こんなの降りられないぞ」
 
実際、坂を下りられず、途中で固まっている女子学生が数人いました。
「どうしよう。家に帰れない」
私はOBなので、この校舎全体のつくりを良く知っています。
遠回りすると、裏手から外に出ることが出来るのを思い出しました。
「裏口に行けば外に出られるよ」
女子学生に声を掛け、一緒に歩き出しました。
(でも、そっちのほうにはカラスが山ほどいるぞ。)
 
裏口への途中に、長い角材が落ちていましたので、それを拾います。
剪定バサミや鉈も置いてあったので、そっちは女子学生たちに渡しました。
「もしかすると、危険な状況になるかもしれない。一応、外に出るまで借りていこう」
思わず「くっ」と苦笑いをこぼしてしまいます。
「今日は家に帰るのも命懸けだよな。いやはや」
裏口の方は雑木林になっていますが、案の定、カラスが山のように群がっていました。
私は鷹を胸の前で抱きかかえるようにして、右手で角材をかざします。
「てめえら。オレたちに少しでもちょっかいを出したら、ぶち殺すぞ」
角材の先を、1羽1羽のカラスの視線に向け、威嚇しながら進みました。
 
カラスはこちらを襲ってはきませんでした。
外に出て、校舎を迂回し、正門の前に通じる道路に出ます。
「もう大丈夫だろう。剪定バサミは正門でガードマンに渡して行こう」
女子学生たちが頷きます。
 
塀の角には、水道の蛇口がありました。
ここにはバケツもありましたので、水をそのバケツに溜め、鷹に飲ませます。
鷹はバケツに頭を突っ込み、すぐさま水を飲み始めました。
(腹も減ってるだろうな。家に生肉はあったっけ?)
「でも、お前のことは、オレが必ず守ってやるからな」
 
ここで覚醒。
何を表す夢なのかはわかりませんが、鷹は何かの象徴なのだろうと思います。