日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第391夜 お持ち帰り

尾須沢鍾乳洞の前まで行った次の日のことです。すなわち昨夜の実話。
家人が「肩が重い」と言い始めました。

「昨日、あの洞窟の前まで行った後に、何だか肩が重くなった。今は首まで重くて、痛くて堪らない。あそこで幽霊を連れ帰ったかもしれない」
ダンナ(私)はそれを聞いて大笑いしました。
「そりゃ、藤の花の写真を撮ると言って、長い間上を向いていたからだよ。ババアなんだから、普段やらないことをして、使い慣れない筋肉を使えば、肩が凝るのは当たり前」
何でもかんでも、霊のせいにするなよな。
それじゃあ、自称「霊感の強い」人たちと変わらない。

「大体、洞窟とかトンネルに何かがいそうだと思うのは、暗い所に対する恐怖心が原因だよ。そこに特別な霊がいるのではなく、暗所自体が怖いというわけ。実際は他のところと変わりない」
もちろん、「何もいない」のではなく、他のところと同じように、「いつでもどこにでもいるが、ほとんど影響はない」です。
家人は「そっかあ、そりゃそうだよね」と納得しています。この辺、あっさり認める所は、本人も「言ってみただけ」のようです。

伏線はここまで。

ここから先が夢の話です。
お昼頃に居間で横になっていると、夢の世界に入りました。
これはその内容です。

家人と2人で、どこか景色の良い所を訪れていました。
高原のようなところで、つつじが赤く色づいています。
すなわち、ちょうど今頃の季節です。

「私はつつじはあまり好きじゃないなあ。何だか色が赤すぎて上品じゃないもの。でも・・・」
「でも、何?」
「おしっこする時に隠れるには良い高さだよね」
トイレに行きたいのを我慢していたわけか。
ここはあまり人が訪れない場所らしく、周りにはまったく人が見えません。
もちろん、トイレだってないので、用を足すには木陰しかありませんでした。
「仕方ないな。さっとやって来い。お尻を虫に刺されるなよな」

家人はつつじが沢山生えている方に歩いて行きます。
50辰睚發、そこでしゃがみました。
「ダンナしかいないんだから、あんなに離れなくとも良いのに」
何となく家人の方に目を向けます。

すると、家人の後ろの方で誰かが立ち上がりました。
「あれま。人がいるじゃないか。あいつに教えてやらないと」
「おおい」と手を振ります。
しかし、家人には聞こえないようで、用が済んだのか、そのまま立ち上がりました。

その後ろの方に人影が見えています。
「ありゃ。1人じゃないぞ」
三方から1人ずつが少しずつ家人の方に近づいて行きます。

「おい。早くこっちに来い」
そう声を掛けつつ、家人の方に歩き出しました。
程なく、家人の後ろに居る人の姿がはっきりと見えて来ました。

やや。こいつは不味い。
一番近くにいた男は、頭に髷を結っていました。
しかも月代をきちんと剃っています。
「ここは江戸村じゃあないから、あれはたぶん生きてる人間じゃないな」
この辺、本物が姿を現した時には、完全にそこに存在するように見えていますので、それが生身の人間なのか、幽霊なのかはすぐに判断が付かない場合があります。

丁髷の男は家人の肩に手を掛けています。
「こりゃあ、きっちり払う必要がありそうだ」
そう考えながら、私は家人の方に歩み寄って行きます。

ここで覚醒。

昨日の「肩が重い」という話から連想(妄想)したものだろうと思いますが、丁髷の男の要素はないので、念のためお祓いをしておくことにしました。
もちろん、尾須沢鍾乳洞とはまったく関係ありません。
万が一関係があるとすれば、かなり前からのもので、どこか実際にそういうことがあった時のことでしょう。
「ああ。あの時だ」と思い当る場所があることが、夢の不思議なところです。
十年前の話で、夢の景色とまったく同じ場所を訪れ、家人が灌木の後ろで用を足したことがあるのです。