◎『勇気ある追跡』(『トゥルー・グリッド』) : (1969年米国映画)
この『勇気ある追跡』(『トゥルー・グリッド』)は私の大好きな映画で、繰り返し百回以上、DVDを観ています。
あらすじはこう。
牧場主が使用人トムに殺され、金品を奪われる。
牧場主の娘マティ(キム・ダービー)は、父親の遺体を引き取りに来たが、どうしても犯人を許せず復讐を誓う。マティは保安官のルースター・コグバーン(ジョン・ウエイン)を雇い、班員を追跡することにした。
コグバーンはアイパッチをつけた隻眼の保安官で飲んだくれだが、それなりに仕事は出来る。さらに若いテキサス・レンジャーのラ・ボーフ(グレン・キャンベル)が追跡に加わり、3人はトムら犯人一味を追う旅に出る。
トムは盗賊団に加わっていたが、3人はその一味を追い詰める。
しかし、マティがトムに捕らえられてしまい、ラ・ボーフが救出に向かう。
コグバーンは後方から援護射撃を加え、激しい攻防の末にトムら一味を倒し、マティは無事助け出される。
だが、その戦いの中で、ラ・ボーフが負傷し死んでしまう。(※元の映画とリメイクでは違う結果になっています。)
マティは穴に落ち、穴の底にいた毒蛇に噛まれる。
コグバーンはマティを助けるために、必死で道を戻る。
最近、気がついたのですが、この映画の筋自体は黒澤映画の雰囲気に似ています。復讐譚なのですが、陰惨とした印象はありません。
おそらく、監督が最も撮りたかったのは最後の場面です。
マティは毒蛇の毒で片手を失った。
マティは父親の牧場に戻り、家業を継ぐ。
(時代的に腕を失った女性が夫をもらうのは難しく、その後死ぬまでマティは独身で暮らすことになる。)
牧場を訪れたコグバーンに、マティは「ここで一緒に暮らそう」と懇願するが、保安官は「俺に牛追いは向かないから」と言い残して去って行く。
『シェーン』(1953)の構図にも似ているし、80年代の『ストリート・オブ・ファイヤー』はこの映画の影響下にあると思います。
三人組のロードムービーで、一人が若者、二人がプロ。プロの一人が命を落とすという設定は『許されざる者』にも通じます。ある意味古典的なつくりと言えます。
この感じは、侍の話に出来ます。ま、西部劇は時代劇に通じるものがありますので当然ではあります。
黒澤映画っぽいと感じるのはそこでしょう。
だいぶ先になりますが、これを翻案して、盗賊の赤虎か紅蜘蛛お蓮の話にしてみようかと思っています。