日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第707夜 襲撃

◎夢の話 第707夜 襲撃
 1月1日の午前5時に観た夢です。通常、初夢は2日の夜に観る夢ですが、元日になってから眠りに就きましたので、これが事実上の初夢だろうと思います。

 政府が政治犯という名目で、市民を次々に逮捕・監禁するので、 少なくとも無実の市民3千人が不法に収容されていた。
 俺たちは刑務所を襲撃して、この人たちを解放することにした。
 まず2百人が刑務所の表に集まり、そこで騒いだ。刑務官がそっちに気を取られているうちに、通用門を破り、中に百人がなだれ込んだ。
 刑務官は50人程度で、一旦門を破られたら為す術がない。半分以上が投降した。
 襲撃は成功で、大半の市民を外に出すことが出来た。

 ところが、その刑務所には、政治犯ではない普通の犯罪者も数多く混じっていた。
 そんなのを選別する暇は無いから、そいつらも多数が外に出てしまった。
 強盗犯や殺人犯は大喜びで商店を襲った。
 ま、刑務所の外に出たところで、行く宛ては無いから、結局はそうなる。
 多くの家に火が点けられ、街のあちこちで家事が起きた。
 数十箇所で火災が起き、それに乗じて暴動が広がった。

 刑務所を襲ってから、俺たちは幾つか貴族の屋敷を襲撃した。
 今の世の中がこんな風なのも、こいつらが私欲を満たすばかりで、市民を顧みないからだ。
 もちろん、そういう貴族は容赦なく殺した。
 こっちは何百人も殺されているから、因果応報だ。

 朝方になると、俺の許に「お前の家の街区が焼けている」という報せが入った。
 襲撃が一段落した後だったから、俺は急いで家に向かった。
 家の前に立つと、建物の大半が焼け落ちて、2階から上が無くなっていた。
 「これでは、女房や息子は・・・」
 俺には妻と、まだ3歳になったばかりの息子がいた。
 あこぎな政府を倒すためとはいえ、妻子を犠牲にしてしまったのか。
 俺は落胆し、入り口のステップの最初の段に腰を下ろした。
 「お前たちを守ってやれずに済まなかった」
 さすがにため息が出る。

 何気なく、家の横に目をやると、地下室の入り口に戸板が立てかけてある。
 戸板は穴を塞ぐ扉の役目をしているのだ。
 「ということは、中に人がいるということじゃないか」
 俺はその戸板をずらし、地下室の中を覗いた。
 すると、階段の下の方は焼けては居なかった。
 かなり昔に作られた家だったから、地下室が深く掘られている。
 出火は2階からで、1階の天井までは焼けたが、地下室は無事だったのだ。
 すぐさま階段を走り降りる。

 地下室の扉を開くと、そこには妻と息子が座っていた。
 「あなた。お帰りなさい」
 妻が微笑む。
 「良かった。俺の最も大切なものを失わずに済んだ」
 俺は安堵して、妻子の隣に腰を下ろした。

 それから二十年が経ち、世の中は随分変わった。
その変化のきっかけが、刑務所の襲撃だったと言われるが、俺にはそんな実感は無い。
 あの事件は暑い夏の盛りのことで、俺たちが襲ったのはバスティーユという刑務所だった。
 ここで覚醒。