◎運動バカではない
スポーツ選手やスポーツ担当の記者がよく口にするのが「有効的」という言葉だ。
これを全国区にしたのがK1の某選手は、他選手の解説の時に「今のは有効的でした」を乱発していた。プロ野球でも多くの解説者が使う。
文法からして誤りなのだが、しちくさい説明は止め、ともあれ意味を取ると「有効(効き目あり)」+「的(の、のような)」がくっついたかたちなので、ざっくり言えば「効果があるかもしれない」というあやふやな表現になる。効き目があるかもしれんし、ないかもしれん。
そもそも、「ゆうこうてき」ですぐに思い浮かぶのは「友好的」だから、音としても違和感がある。
「さっきのパンチは友好的でしたね」
相手にとってみれば優しいパンチだということ?
ま、「効き目があった」と言いたいなら、「効果的」という言葉で足りる。
今は、言葉を扱うのが商売の新聞・テレビの記者でも、「有効的」をフツーに使う。プロなら少し疑問に思えよな。
数日前に、大谷投手が投手として登場し、七回一失点で勝利投手となった。この時に日本の記者がインタビューをした。
「今日はどの球種がユーコー的だと思いましたか?」
内心で「出た」と思った。「友好的」な戦い方が来たぞ。
やっぱり「有効的」はスポーツ界独特の言い回しだ。
さて大谷選手はどう答える?
大谷選手は一二秒考えたが、こう答えた。
「今日はスライダーが効果的だったと思います」
おお。きちんと「有効的」を「効果的」と言い換えてら。
この子は、世間によくいる「運動バカ」ではないのだな。
ちなみに、この場合の「バカ」は「そればっかりやっている人」の意味で、「学者バカ」と同じようなニュアンスだ。
「愚か者」の意味とは少しズレ、それほど否定的な意味ではない。「一丁食い」に同じ。
大谷選手には、合間合間に充分に休みを取り、「投手の時には162キロの球を投げ」、「打者の時には130㍍超のHRを打つ」姿を望みたいものだ。
投手として、あるいは打者としてを各々切り取ると、MLBには割合いる選手だと思う。だが、両方をやっている選手はいないし、それに加えてあの走力だ。
個人的には百㌔を超える巨体があの速さで走るところが一番すごいと思う。
よく膝を壊さぬものだ。