◎扉を叩く音(続)
深夜、玄関の扉をノックする音が聞こえる話の続き。一時、出入り自由となり、音が無くなっていたが、最近またこの音が復活して来た。
今は午前二時を回ったところ。
今現在、玄関の外を動き回る音が響いている。
植木箱を押したり、傘立てをいじったりするゴツゴツした音が響く。
最近流行りの窃盗団かもしれぬが、当家はコロナでだいぶやられた口なので、「お金持ちリスト」には載らない。
ま、「助けて」「助けて」「玄関を開けてくれ」と呻く方のヤツだと思う。
この手の現象は、ひとを選んで起きるし、いざ始まるとどんどんエスカレートする。
そのうち、植木鉢を全部引っ繰り返すようになるのかもしれん。
十年前にはドキドキしたが、今はそんなのを気にしてはいられない状況だ。毎月のやりくりが大半で、夜中の訪問客どころではない。
しかし、「気のせい」の入り込む余地がないくらい鮮明で大きな音だ。箱を蹴り飛ばしたくらいの激しさだ。
おお。ブツブツと声まで聞こえる。
道ではなく、当家の敷地の中だ。
現物を見に行こうかと言う気もあるが、これ幸いと連れ去られるかもしれん。ま五分もすれば止むと思う。
最初はかなり驚いたし、気持ちが悪いと思った。
昨年などは、机の上に置いたスマホに勝手にスイッチが入り、自動でアシスタントが起動したが、ここまでは他の人にもありそうだ。だが、しわがれたオヤジの声で「憑いた」「憑いたぞ」と叫ぶケースはレアな筈だ。
今はドアのノック音や話声くらいでは、家人でも驚かないだろう。
追記)今朝確認すると、玄関のドアの鍵が開いていた。
夜中の二時で、家族は皆、朝が早いので眠っていた。誰が開けたのか。
そう言えば、出入りする音も聞こえていたと思う。