◎修羅の道
先ほど、娘を迎えに駅まで行った。
駐車場に戻ると、娘に鍵を渡し、先に行かせた。当方は足が悪く、ゆっくりとしか歩けぬためだ。
暗い夜道を歩いていると、右手の甲を誰かが触る感触があった。
こういうのは頻繁にある。
それと同時に、その触っている者の感覚が伝わるので、他にも沢山の者が後をついて来ているのが分かった。
「少なくとも十五より多い」
両肩や太腿あたりにも、手の感触がある。
さすがにため息が出る。
落としても落としてもてんこ盛りに乗って来る。
家の入口で止めることが出来ず、ゾロゾロと中まで入って来る。
「この調子では、俺の家は『難民船』と同じになってしまう」
家じゅうに幽霊が溢れる状態に。
写真を見れば、実際に入れ代わり立ち代わりに寄り憑いているのが分かる。
これは想像でも妄想でもなく現実だ。
独りきりで味わっては詰まらぬので、今後は、誰彼構わずこう言おうと思う。
「特別に、あなたには俺の友だちを数人分けてあげる」
まだやったことはないが、他人に移すのはそんなに難しいことではないように感じる。
最初の一人目には、腰が抜けるほど驚くと思うが、なあに大したことはない。当方は日常的にその何十倍も感じ取っている。