◎病棟日誌・悲喜交々 5/9 「NHKの断末魔」
木曜の朝に病院に行くと、ロビーにはNさんともう一人だけ。Aさんやガラモンさんは循環器の病院に入ったし、御ｈ彼の患者たちもあまり調子が良くないらしい。番号カードの数字がかなり若くなった。
Ｎさんは足指を切除するため、１キロ離れたところにある循環器専門病院に二か月ほど入院して来た。
この日はその時の話をもう一人に語っていた。
一番驚いたのはテレビの料金だったらしい。
入院の手続きをする時に、「テレビを観ますか？」との質問項目があり、火急の時でもありよく読まずに丸をしたら、「一日八百円」だった。従前はテレビカードを買って、使用分だけ消費できたが、今は観ても観なくとも「一日あたり八百円」が課金されるとのこと。
退院時に請求書を見ると、テレビ代金として四万数千円が書いてあった。
使ってない日にも課金するのは理不尽だと思うが、これはＮＨＫが原因だ。ＮＨＫは加入者単位ではなく、端末ごとに料金を請求するように変えているため、病院とか福祉施設がテレビを設置すると、置いてあるだけで料金ｗの請求される。セットごとであれば、何十台分だからかなりの金額になる。
ベッドがいつも１００％塞がっているわけではないから、テレビが使われぬ機関もかなりあるわけだが、その分もＮＨＫは請求する。すると、稼働率を見越した上で料金を設定しないと赤字になるから、病院の方も「一日八百円」みたいな設定になる。
まっこと理不尽な話だ。
ライフラインに例えると、ガスも電気も基本料金の設定があり、これは仕様に関わらず課金される。その上に使用分が加算される仕組みになっている。
ＮＨＫの場合は、総ての番組を視聴したと仮定した時のフル料金を加算している。
動画やテレビを含めて、様々な視聴が出来るプラットフォームの使用料金が月に一千円かそこらなのに、テレビの１チャンネルの視聴料金がその２倍３倍（BS）かかる。
通常、この方式でサービスを提供するビジネスは「送り付け詐欺」に当たる筈だが、NHKは放送法を盾に取っての悪徳商法を続けている。
テレビ自体が既に斜陽産業で、視聴率がようつべに負けるご時世なのに、その情勢を分かっていないらしい。
（ま、年末の国民世帯の３割くらいが観る（低い）紅白に、「まだデビューしていない韓流歌手」を出すくらいだから、そもそも分かっていないわけだが。）
ニーズに合わせた業態の改変を目指すのがビジネスの筋だが、NHKは逆に「搾り取る」方向で躍起になっている。
それなら、もう終わりは近い。
メディア媒体がラジオとテレビだけで、それも数チャンネルだけだった時代ははるか昔で、今はBS、CS含め６０はある（確か）。また、そもそも若者などはテレビ自体をまったく観ない。
病人からも、生活保護世帯からも、料金を取り立てようとするのがNHKだ。
話を戻す。
「それなら、２万円でタブレットを買って、月千円でアマゾンなどプラットフォームを契約すれば良いですね。使用料金としてはカード式よりも安価です」
Nさんは、退院した後で、奥さんにその話をしたそうだ。
すると、奥さんに「あなたはまた入院でもしたいのか」と問い返された、とのこと。
そりゃそうだ。次の入院のために用意することになるから、験が悪い。
ちなみに、ここでパッと閃いたのは、タブレットの短期貸し出しのビジネスだ。千円のテレビカードで観られたのが、八時間か十時間だったから、二日か三日くらいで消費する。
一日四百円程度の設定でレンタルすれば、病院のテレビの半額だし、カードよりも長く視聴できる。
ここで「患者が入院したまま、死んじゃうかもしれんから、クレジット払いだな」とか、やや不謹慎なことを考えた。
ひと月で一万二千円なら行けるんじゃね？
利幅が低いが、ニーズはひと病院ごとに数十はありそう。
テレビに加えて、もう一つの「あっちの病院」の話は「飯が不味かった」こと。
その循環器専門病院は、埼玉で心臓なら埼玉医大かそこと言われるほどで、医療の技術は確かだが、いかんせん「病院めし」がやたら不味い。
「あっちのご飯を思えば、こっちの病院のご飯は美味いよね」
まったくその通りで、当方も幾度かあっちに入院したことがあるが、食事には往生した。
「朝食にパンが出るけれど、昭和の学校給食みたいなボソボソのパンで」
小学生時代には、給食のコッペパンが食べられず、食い掛けの残り物が机の引き出しに溜まったものだが、あの病院のはそれと同じようなごわごわしたパンだった。
総菜ももちろん不味い。
ちなみに、家人の話では、今の小学校の給食はかなり美味いらしい。給食を残す児童はいないそうだ。
実際、家人が給食のコッペパンを持ち帰ったことがあるが、何気にそれを食すと、フワフワして美味かった。
思わず「ガキにこんないいもんを食わすんじゃねーよ。粗食させた方が健康で長生きになる。稗飯を食わせろ」と伝えた。
今時の子どもは、ダイエットして太らぬように心掛けているらしい。何だか腹が立つ。
最後に祈りを捧げる。
どうか当方が生きている間に、NHKが潰れてこの世から無くなってくれますように。
