日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第347夜 赤ちゃん

テレビの前で寝入っており、小一時間ほど横になっていました。
これはその時に観た夢です。

家族で食事をしている。
オレが作った夕食だ。
「(一緒に)飯を食わぬは離婚の始まり」なので、当家では夕食を家族揃って食べることにしている。
妻は学校勤務で帰りが遅いので、必然的に食事の支度はダンナである当方になる。
家族が5人いると、各々の好き嫌いは常に1対3だ。
3人までが好む食事は作れるが、必ず最後の1人は食べない。
基本的に、和食が2人で、イタリアン好きが1人。あとはとにかく「こってり」が好きだ。
1人足りないが、専ら作り手のオレは、作った物を食べない。
食事制限があり、食べられないのと、食が細くて食べられないせいだ。
持病でカロリー制限があるが、それを気にする必要はない。
いつも、納豆飯や白菜のおひたししか食べず、足りない栄養素はビタミン剤で補給しているからだ。
たまに外食をしたりすると、あまりに多いので半人前も食べられない。
ところが、栄養を体に溜める注射をしているので、半分しか食べなくとも痩せたりはしない。
ちょっと運動すると、すぐに低血糖でへばるのだが、家に居る分には、普通の人の4割くらいでも平気だし、痩せないのだ。
要するに、痩せるためには、「注射を止める」ことと、「どうやっても足りないカロリー数」、そして、脂肪を燃焼する「ソコソコの運動」の3つが必要だ。

こういうわけで、当家の夕食時には、オレは家族が食事をするところを黙って眺めているだけだ。
この夜も、食材を並べた後、家族ひとり1人がきちんと食べているかどうかをじっと見ていた。
誰か体調を崩してはいないだろうか。
風邪を引いてはいないのだろうか。

すると、窓のカーテンが小さく揺れた。
「あれ。何だろ」
目を凝らすと、カーテンの下から人間の手が覗いていた。
小さい。赤ん坊だな。

カーテンに近づき、引き開ける。
やはり、そこに居たのは、赤ちゃんだった。
「あ。こいつは・・・」
しばらく前に夢に出て来たヤツだ。オレが気づかぬうちに家に上り込み、家具の間に隠れて生活していたヤツじゃないか。
(て、ことは、今は夢を観ているってことだな。)

なら、何でもアリだが、しかし、それからずっとこの家に居るんじゃあ、オレ以外の家族は皆、そのことを知っていたということだ。
「おい。何で警察に届けない」
家族は誰一人として答えない。
「あれからこの家に居ると言うことは。もうひと月以上になる。その間、オレに黙っていたのか」

開けて窓から勝手に入っていたにせよ、勝手にこの家で育てるわけには行かない。
それに、オレも妻も、もういい加減オヤジジイイとババアだ。今から子育てをするのは、ちょっと勘弁してほしい。

「お前たち。もしこの子が死んだらどうするんだよ。猫の子じゃあないんだぞ」
親に捨てられた命だが、おもちゃのように軽く扱う訳にはいかないだろ。
ここで、赤ちゃんを改めて見直す。
どこかアジア系の顔立ちだ。お母さんは日本以外のアジア人。
たぶん、日本人のお父さんとの間に出来たが、そのお父さんがきっと妻子を捨てた。
母親は途方に暮れて、赤ちゃんを置き去りにした。
お腹の空いたこの赤ちゃんは、そのアパートかなんかを抜け出て、オレの家の空いた窓から入って来たのだ。
そんな筋書きが頭に浮かぶ。

赤ちゃんは可愛い顔立ちで、オレのことを見上げている。
暖かくて、ミルクうんち臭い臭いがする。
そう言えば、何日か前にも、「赤ん坊のミルクうんち臭いが懐かしい」と妻と話したばかりだった。
その赤ちゃんを、他の家族は匿っていたわけだ。

何だかのけ者になったような気分だぞ。
まあ、知っていれば、警察か厚労省に告知しただろう。
「だから、この子をこのまま家に置くわけには行かない。絶対に届けなければ」

すると、妻がここで口を開いた。
「お父さん。よく見なさいよ。その子は人間じゃなくて、妖精だよ」
驚いて、腕の中の赤ちゃんを確かめると、なるほど、体長が15センチかそこらで、あまりにも小さすぎる。
おまけに、将来は羽になりそうな突起が、背中の肩甲骨の辺りから飛び出ていた。

ここで覚醒。

妖精の赤ちゃんは、何か「守るべき存在」であることは確かですが、一体それは何のことなのでしょうか。