最近、高麗神社のトラちゃんが食が細いので、どうしたものか。
ホットミルクにしてみたり、鶏のササミにしてみたりしましたが、あまり効果はありません。
「きんぴらごぼうとご飯少々で済ます、オヤジジイと同じだよな」
なるほど。トラも年増猫なので、「こってり」は食べられない。
そう言えば、1年半か2年前に初めておやつを上げた時は、たまたま煮干しを持っていたので、それを与えてみたのでした。
煮干しかあ。
そう思うと、すぐに確かめてみたくなったので、神社に出掛けました。
駐車場に入ると、トラちゃんは参拝客の女性に抱かれていました。
「皆に愛されているんだよな」
ゆっくりと参拝し、境内をひと回りします。
戻ってみると、まだ抱かれたままです。
仕方なく椅子に座り、「猫の空き待ち」をしました。
なんとそれから30分経っても、女性はまだ抱いていやがります(苦笑)。
再び境内に戻りました。
桜の前の看板を改めて見直します。
大宮の 御前のさくら さきぬらし 誰と共にか 君は見るらん (權田直助)
高麗神社の境内の桜はもう咲いたようです。あなたは(私でなく)誰とこの桜を見るのでしょう。
「さきぬらし」は、「咲きぬ」+「らし」ですが、「濡らし」が重なります。
雨が降っているのか、私が泣いているのか。
万葉集から取っているだろうと思っていたのですが、そうではないのかも。
雨の中で桜を見る歌があったと記憶していますが、思い出せません。
今しはや 花さきぬらし 初瀬山 あさゐる雲の 峰にかをれる (西園寺実兼「玉葉集」)
今はもう早くも花が咲いたようだ。初瀬山に朝かかっている雲が、峰の上でほんのり桜色に色づいているなあ。
あれこれ考えているうちに時間が経ってしまいました。
「そろそろかな」と鳥居の前に戻ってみると、女性もトラちゃんも姿を消していました。
女性が帰ったら、急に寒くなったので、トラちゃんも帰ったのですね。
オヤジひとりが置いてけぼりです。