日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

(日高) 「さきぬらし」  (188日目)

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 最近、高麗神社のトラちゃんが食が細いので、どうしたものか。
 ホットミルクにしてみたり、鶏のササミにしてみたりしましたが、あまり効果はありません。

 「きんぴらごぼうとご飯少々で済ます、オヤジジイと同じだよな」
 なるほど。トラも年増猫なので、「こってり」は食べられない。
 そう言えば、1年半か2年前に初めておやつを上げた時は、たまたま煮干しを持っていたので、それを与えてみたのでした。
 煮干しかあ。

 そう思うと、すぐに確かめてみたくなったので、神社に出掛けました。
 駐車場に入ると、トラちゃんは参拝客の女性に抱かれていました。
「皆に愛されているんだよな」
 ゆっくりと参拝し、境内をひと回りします。

 戻ってみると、まだ抱かれたままです。
 仕方なく椅子に座り、「猫の空き待ち」をしました。
 なんとそれから30分経っても、女性はまだ抱いていやがります(苦笑)。

 再び境内に戻りました。
 桜の前の看板を改めて見直します。

  大宮の 御前のさくら さきぬらし 誰と共にか 君は見るらん (權田直助)

 高麗神社の境内の桜はもう咲いたようです。あなたは(私でなく)誰とこの桜を見るのでしょう。
 「さきぬらし」は、「咲きぬ」+「らし」ですが、「濡らし」が重なります。
 雨が降っているのか、私が泣いているのか。

 万葉集から取っているだろうと思っていたのですが、そうではないのかも。
 雨の中で桜を見る歌があったと記憶していますが、思い出せません。

  今しはや 花さきぬらし 初瀬山 あさゐる雲の 峰にかをれる  (西園寺実兼玉葉集」)

 今はもう早くも花が咲いたようだ。初瀬山に朝かかっている雲が、峰の上でほんのり桜色に色づいているなあ。

 あれこれ考えているうちに時間が経ってしまいました。
 「そろそろかな」と鳥居の前に戻ってみると、女性もトラちゃんも姿を消していました。
 女性が帰ったら、急に寒くなったので、トラちゃんも帰ったのですね。
 オヤジひとりが置いてけぼりです。