「冬季、深夜1時から3時の間に、玄関の扉を叩く音がする」話の続きです。
2月15日午前2時45分の記録。
病院から帰り、夕食の支度を終えると、疲労からか居間で眠り込んでしまいました。
夢も観ず、ただ暗黒の中にいます。
「ピン・ポーン」
チャイムの音がしました。
すぐに目覚め、立ち上がります。
7時台に回覧板が回ってくることがあり、それだと思ったのです。
インタフォンを手に取り、横目で時計を見ると、この時刻でした。
「この時間に回覧板はないよな」
息子が隣の部屋で受験勉強をしているはずですが、別段、異常はありません。
なるほど。私の頭の中だけで聞こえていたのです。
「切迫観念か。潜在意識が『そろそろ起きろ』と告げているのかも知れん」
こういうのは時々ありますね。
6時半になると、目覚ましが鳴ったような気がして覚醒する、なんてことはよくあります。
「しかし、『起きろ』が夜中の1時とか2時じゃあなあ」
本題はここから。
コーヒーを淹れようと、台所に歩き始めると、玄関先で「あ。ああああ」という声がしました。
「え」
足が止まります。
「しかし、まだ完全に覚醒したわけじゃない。オレの頭の中だけで幻聴が聞こえているのかも」
ところが、急に襖が開き、息子が居間に入って来ました。
息子はそれまで眠っていたのです。
物音や気配で目を覚ましたというわけです。
「おお。寝てたのか。どうしたんだ?」
ひとまず息子に訊きますが、息子はまだ頭がはっきりしない様子です。
息子の動き方を見ると、あの声は息子にも聞こえていた模様です。
「夢を観たんだな。なんでもないから、また眠ればいいよ」
息子は再び部屋に戻り、布団に入りました。
この家で何が起きるのか、その詳細を息子に語ったことはないのですが、そろそろ説明をする時期が来ているのかもしれません。
ま、受験が終わってからですね。
玄関に立っていたのは女ですが、いつものヤツではありません。
外出した際に、拾って来たのだと思います。
場所は前日の病院の玄関で、だろうと見ています。