日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎「良い人」ほど始末に負えないものはない

◎「良い人」ほど始末に負えないものはない
 経営者時代には、営業上、沢山の人に会うわけですが、最初に「この人はどんな人か」と考えました。ま、経営者は皆同じです。
 そこで考えることのひとつは、「コイツは良い奴か、悪い奴か」ということです。
 お客さんは「良い人」であれば、かなり助かります。
 「良い客」は提供した商品やサービスが、多少の欠点があっても、「別にそれくらいいいや」と受け入れてくれます。納期を少しオーバーしても、好意的に解釈してくれます。
 そして、黙って代金を払うのです。
 これが、「悪い客」だと、ひとつ1つに難癖を付け、「あそこが足りない」「ここに不首尾がある」と言い掛かりを付けます。
 納期を1日でも遅れそうになると、「代金は払えない」と言い出す。このため、気を許すことが出来ません。こういう相手には、念を入れる必要があるし、真っ先に対応を済ませておく必要が生じます。

 しかし、パートナーとしてはどうでしょうか。
 「一緒にこういう仕事をやらないか」
 こういう事業話が持ち上がった時にも、やはり「コイツはどんな奴か」を考えます。
 それを早い段階で見極めるわけですが、客の場合とは判断が異なります。
 まずは、相手が「良い人」であった場合、その仕事はやりません。
 「良い人」は他人に理解を示すけれど、やはり誰でも同じように、自分に対しもっとも優しい。出来が悪かろうが、期限を守れなかろうが、自分に都合の良い言い訳を考える。
 そして、それを他人が理解してくれて、当たり前だと思っているのです。
 これが「悪い奴」だと、「約束を守らない」「守れない」ことがどんな結果を招くかを知っているので、必ず約定通りの商品やサービスを作り出すし、期限も守ります。
 そういう意味では、安心して仕事を遂行することが出来るのです。
 もちろん、気が抜けないのは、仕事の出来映えではなく、その後のこと。
 「悪い奴」は売り上げを全部抱えて逃げる可能性がありますので、その辺には注意する必要があります。

 さて本題はここから。
 森友事件の登場人物を当てはめると、色んなことが分かります。
 安倍総理や稲田大臣は、典型的な「悪人」ですねえ。
 法律の定義をもとに、「それが当てはまるかどうか」をものさしにして、当てはまらないなら、「推定無罪」を主張します。
 それが事実と異なっていても、嘘と証明出来なければ、嘘ではない。これが悪人の考え方です。
 籠池氏も悪人。正確には「小悪人」で、弁護士の指示を基に(これは皆が忘れているが重要だ)、補助金をこそこそと騙し取っています。もちろん、本人は「補助制度を利用しているだけ」と言うでしょう。詐欺師が最初にだますのは自分自身の心です。
 ま、実際、籠池氏のような申請の仕方をしている事業主は、結構います。
 (その意味では、今は少し薄ら寒い思いをしていると思います。)
 財務省の役人も、典型的な悪人。1年前の資料を「廃棄して今は存在しない」など、役人の世界では起きるわけがないです。もしそうなら、官僚は失格。懲戒解雇でよい。
 よほど都合の悪い事実があり、それを隠すために「無い」で押し通そうとしているのです。ま、この国の中で「ワル中の悪」がこの人たち。
 
 さて、たった一人だけ「良い人」がいました。
 この人は、常に善意で考え、会う相手ごとに、また出来事ごとに、善意で対処します。
 「よかれ」と思ったことを行動で示してしまう。
 皆が喜んでくれることを言い、喜んでくれそうな態度を示すわけですが、そうなると、その相手によって対応が異なり、相手からの見え方もその都度変わって来ます。
 言葉に裏打ちがなく、内外、善悪の線引きが曖昧。
 「自分は善意でしたのだから、理解してくれれば良いのに」と思っている。
 だがそれが間違い。
 片方を立てれば、片方を足蹴にする必要が生じるのが、人の世の常です。
 そこは「泣いて馬謖を切る」のが適切でしょう。
 (ま、馬謖は黙って死んでくれますが、籠池氏はそうではありません。)

 総てを割り切って、言い切らない・言い切れないので、余計に事態が悪くなります。
 本人の心の中では葛藤が渦巻いており、「吐き出したら、皆が理解してくれるのではないか」「きっと楽になる」とも感じていることでしょう。
 
 このことは、悪人たちにとっては、まさに恐怖そのものだろうと思います。
 ある日突然、「良い人」が総てを白状してしまうかもしれない。
 そうすると、自分たちの積み上げてきた「事実と認定できない状況」が、ただの「嘘」に化けてしまいます。それはすなわち、総てが崩壊する時です。
 よって、この後、この人の証人喚問はおろか、参考人招致すらありえません。それで周囲の悪人たちに良いことはひとつも起きない。
 メンタルが極端に弱く、嘘を吐くことが耐えられない人を、人前に出すわけには行かないのです。

 斯様に「悪人」にとって、「良い人」ほど「始末に負えないものはない」のです。
 なお、雰囲気的には、もうそろそろ告白してしまいそうです。
 財務省は「指示されて便宜をはかった」。その証拠は、財務省の態度が示す通りです。
 どんな言い訳を持ち出そうと、これが真実。
 嘘と思うなら、「良い人」を国会に出してみろ。
 十分と黙っていられません。