日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎思わず「ゴンボ」を掘る(366)

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◎思わず「ゴンボ」を掘る(366)
 高麗神社に参拝に行ったのですが、高性能カメラを持参したのに、カードを忘れていました。再び駐車場までスマホを取りに行き、手水を使うところからやり直しました。
 神殿前では、やはりいつもの通りですね。扉が近くなので、沢山集まっています。

 トラは日向ぼっこしていました。
 家でカツオを温め、小さくほぐしてありましたので、これをおやつに与えました。
 すると、塀の向こうから、別の猫が飛び出して来て、トラに与えたカツオを食べようとします。
 「やめろ、コラ」
 足を飛ばして地面を踏み鳴らし、その猫を遠ざけます。
 しかし、そいつは逃げもせず、トラに近寄ろうとするのです。
 「どっかで見たことがあるヤツだな」
 先日、トラからおやつを奪い取った、白黒のブチ猫とは違います。
 「ああ、思い出した。お前はハン・サム男の子か」
 4年くらい前の雨の降る日に、1匹の風来坊がやって来て、トラからつかず離れずの位置にじっとしていました。
 翌年、トラと風来坊の両方に似た子猫を見ましたので、たぶん、父親はそいつです。
 その時に出来た子がこの猫です。
 「道理で、あのヤローによく似てらあ」
 トラも自分の子どもだからでしょうか。別段、その猫が傍に寄っても嫌がりません。
 「だが、これはトラのためのものだ。お前が息子だろうと関係ねえ」
 殴りつけるふりをして、猫を遠ざけます。
 そいつの方も、母親の仲間だと悟っているのでしょうか。私に怒るでもなく、少し下がって様子を見ていました。

 「オメーね。俺はお前の父親を知っている。お前の親父は、外国猫ですかしたヤローだった。見た目どおりのヤツで、トラがお前を孕んだら、さっさとどこかに行きやがった。お前はそいつの子なんだよ。俺が優しくするわけがあるまい」
 こういう時の猫は、まるでこっちの話が分かるように、しゅんとして項垂れています。
 「親父同様にチャラチャラした格好をしやがって、見栄張ってるんじゃねーぞ」
 ま、猫だけに自分で毛並みは選べません。やや理不尽か。

 ここで、別の猫が姿を現しました。そっちは、先だっての白黒ブチで、トラから食べ物を奪ったヤツです。
 当然、私は蹴りに行こうとしたのです。しかし、それより先にハン・サム男ジュニアが飛び出して、相手の猫を追い払ってしまいました。
 「おお。お前は母親を守ろうとしていたのか」
 高齢になり、母親が神社の境内から追われようとしているので、その母親を守るためにここにいるわけです。

 「そういうことなら、お前にも・・・、何てわけには行かねーぞ。お前には十年早あい!!!」
 子が母を守るのは、ごく当たり前です。
 きちんと、自分の務めを果たしていると認めることが出来るようになったら、ナンボか分けてやってもよいぞ。いつかは分からんけど。
 息子猫が「何で?」じっと見上げているところに、さらにダメ押し。
 「おい。俺はな。今はゴンボを掘っているんだよ。俺の田舎じゃ、オヤジが長々、くどくどと説教をしたり愚痴を言うことを『ゴンボを掘る』と言う。説教をするのは、お前のためになるからとか、そういう理由じゃない。ただ無意味に長々と愚痴っているだけだ。これが『南部男』であり『岩手県ずん』だからな。俺のゴンボは長げーぞ。俺の伯父や叔父たちには敵わんが、それでもまあまあ長い」
 とかナントカ、すっかりシチュエーションの中に浸り、猫相手に真剣に説教しているうちに、ふと周りの視線に気付きました。
 参拝に来た人たちが、猫相手に声高に話をしているバカオヤジを見ていたのです。
 さすがにこれは恥ずかしい。

 慌ててトラの頭を撫で、早足で車に戻りました。
 「危ねえ、危ねえ。俺って、いつか白黒ブチの猫に噛み付いているところを録画されて、ユーチューブに流されたりするかもしれん。気をつけねば」
 猫相手にケンカをするときには、人としてではなく、猫になりきってしまいそう。
 動画ネタとしては十分ですが、後が大変そうです。

 予期はしていたものの、今冬は本当に厳しい。
 家に帰り着いた瞬間にヘナヘナと崩れ落ちてしまいます。
 ま、それでも明日は来るだろうと思う。
 たぶん、明後日も。でも、もちろん、来月のことは分かりません。

 ちなみに、神社で神殿前の階段を上がる時には、「真ん中を避けいずれかの側を通る」とされていますが、真ん中は「神さまが通る道」であると同時に、「霊が集まる」ことに由来するのではないかと思います。
 神殿前でいろんな人影が写るのは、そのせいです。今後は、「常に左側を上り下りする」ようにしました。奉納箱の前でも正面には立たず、いずれかの脇になります。