日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎自分を宥める

自分を宥める

 少し前のニュースに居酒屋の主人が出ていた。「アルコールの提供禁止措置」に対する意見を求められていたのだ。

 その時、現状について言っていたことは、「毎月3百万以上赤字」だということだ。

 なるほど、十数人も人を使っていれば、当たり前だと思う。

 アルコールを飲ませ、その客があれこれ注文してナンボの商売なのに、前提の酒の販売を禁止されたら、どうにもならん。

 腹の中は文字通り「忸怩たる思い」だろう。

 

 当方もかれこれ一年以上も「まったく仕事が無い」状態だ。

 自分の我慢のストッパーが「割り箸程度」ではなく、今や「爪楊枝程度」であるという実感がある。

 時々(実際は頻繁に)思うことのひとつは、「キレて殺さないようにしよう」ということだ。

 常にスイッチに手が掛かっている。

 そのための準備として、

 「庭木の枝を払うためのナタを買って置こう」

 「室外機の線を保護するためにアルミのパイプを用意しよう」

 みたいなことを何となく考える。

 だが、それらを買っても、家には持ち帰らずに車に積んだままにして置くと思う。

 はっきりと意識はしていないのだが、「別の用途でも使える」と思うからだ。

 「煽り」を目にすれば、自分に対してのものであろうがなかろうが、誰彼関係なく使える。

 こういう思考が頭の中に同居しているのは、少し恐ろしいと思う。

 最近の事件で、ささいなことでオヤジがキレてしまい、凶悪な行為をしてしまうケースがあるが、あれは目の前の出来事に対し、怒っているのではない。

 日々の積み重ねだ。

 目の前の「些細なこと」は単なるスイッチに過ぎない。

 

 今日、電機量販店を覗いたら、プリンタのインクカートリッジの値札が半値でついていた。

 「たぶん、店員がずさんで値付けを間違えた」と思ったのだが、一応、レジに持って行った。

 やはり値段が違い、それだけでなく、専門店よりも割高だ。

 「じゃあ止めます」と言って止めようかと思ったが、そこでの会話のやり取りで「自分にスイッチが入ってしまう」可能性が高いことを実感した。

 店員の言い回しひとつでキレ、近くのプリンタを店員に投げつけるかもしれん。

 自身の怒りにリアリティを感じたので、あらゆる接触を止め、そのまま黙って払った。

 

 もちろん、「そのまま」ではない。

 腹のうちで、「イリスさま」に願を掛けた。

 「この会社の誰かに因果応報を教えてやってくれ」

 アモンではあの世に入ってからだろうし、きちんと理が立っているがイリスは違う。

 この世にいるうちから、災いを与えると思う。

 

 もちろん、何も起きない。

 念や祈願が現実に力を発揮することなど無い。

 ひとまずそう思っていると気が楽だ。

 自分の祈願のせいで誰かが破滅するとなるとさすがに気が重くなってしまうが、幸いなことにこういう力は「存在しない」と皆が思ってくれる。

 現実に何かが起きたとしても、咎められることは無い。

 

 出口を通る時についでに祈願を足した。

 「本機を安目にして、インクをバカ高く設定するような商売を行う会社の営業部長辺りにも雷を与えてくれ」

 もしイリスが本当に祟りを撒くのなら、本人ではなく、傍にいる弱い者だろうと思う。

 もちろん、総てはただの妄想だ。(常にこう言う必要がある。)

 でも、アモンやイリスに祈願すれば、自分自身がキレてしまうことが無くなる。

 きっと、こういう機会が徐々に増える。

 ま、当方がいつも味わっているような、「傍に誰かが立っている」感覚を与えるだけで十分だと思う。

 ホラ-映画よりもよっぽどキツい。

 ちなみに当方の場合は、部屋を暗くすると、すぐ傍に誰かがいる気配があるから、いつも灯りを点けたままにしている。

 「そんな気がする」のではなく、現実にそこに立っている。

 この感覚は現実に体験した者でないと分からない。

 姿が見えず、黒い影だけの時でも、「周囲の空間が歪んでいる」ので、「疑いなくそこにいる」と分かる。気のせいで周りの景色が崩れて見えることは無い。

 

 無表情に中年の店員を眺め、「コイツには小さい子供がいるのかどうか」を何となく量る自分を自覚すると、「やっぱり自分もいずれあっちの仲間になる」だろうと思う。

 ちなみに、五輪を開催しようがしまいが、飲食店をアルコール禁止にしようがしまいが、それとは関わりなく感染が拡大すると思う。

 そっちではなく、利用客の方がもはや「たが」が外れている。

 天気の良い日は、あちこちで地べたに座って酒を飲み、声高に話しているヤツらが沢山いる。

 そうなると、これからどれほど感染が拡大しても、それは五輪や飲食店のせいではない。

 これからはそういう者にも、イリスさまを紹介することにした。

 自身を宥めるにはこれしかないと思う。

◎つい気を許すと

つい気を許すと

 この時期は、「あの世」系の返事が起きないから割合、のんびり出来る。

 道を歩いていても、後ろを付けられる気配がないし、カウンターの陰に「女」が立つこともない。

 その分、現実に集中できるわけだが、今は月末ごとに右往左往させられてしまう。月半ばの今から月を越える算段を考える必要がある。

 

 たまに昼からごろっと居間に寝そべり、ホラー映画を観たりもするのだが、最近、割にいい映画に当たっている。

 今日は、そんな風に映画を観ていた。

 

 家人はこの日休みで選択をしていたが、雨予報を気にして、二階に行ったり来たりしている。

 つい先ほど、階段から足音がして居間に入って来て、当方の後ろに家人が立った。

 家人は洗濯物を取り込むかどうか、外の様子を量っているのか、そのままじっと立っている。

 立ち見で映画を観ているような気もするので、背中の後ろ(の家人)に声を掛けた。

 

 「どうせ観るなら、座って観ればいいんじゃないか?」

 

 そう言って後ろを振り向くと、そこには誰もいなかった。

 人の気配がはっきりしていたので、少しびっくり。

 なるほど。やっぱり、この時期は「分かりにくい」だけで、「いなくなった」わけではないわけだ。

 ある意味、納得した。

◎夢の話 第970夜 「けして冷たくない方程式」

◎夢の話 第970夜 「けして冷たくない方程式」

 七月十二日の午前四時に観た夢です。

 

 甲高い警報の音で目が覚めた。

 どうやら不覚にも居眠りをしていたらしい。

 地球を出発して二十四時間が経ち、宇宙船を軌道に乗せたところでホッとして気が緩んだのか。

 急いで警報の出ている貨物室に向かった。

 中を検め始めると、ショベル機のボックスの中から人が出て来た。

 「エヘヘ。私も来ちゃった」

 現れたのは、俺の彼女のイブリンだった。

 「おい。なんてことをするんだ。一度発射されたら、もう後戻りなど出来ないんだぞ」

 俺の態度が期待に反していたのか、イブリンは顔を曇らせる。

 「でも、どうしても一緒に居たかったの。一年も会えないなんて耐えられないもの」

 

 この宇宙船は人類が史上初めて星間有人飛行を試みるためのものだ。

 αケンタウリ星の近くまで行き、その周りを回っている惑星BNからある物質を持ち帰る旅だから、片道半年、往復で一年掛かる旅だ。

 船のコントロール技術は日本のもので、金も日本が半分以上を出資する。

 日本人はこの船のことを、何故か「セイカン連絡船」と呼ぶが、セイカンが「星間」だとしても「連絡船」は何だろ?

 俺のような外人には、相手のいない星に行くのに「連絡」は無いと思うが、日本人の意図が分からない。

 

 ともあれ、有人飛行だから、物資を必要最低限のものに留める必要がある。

 そこで、乗組員は俺一人だし、空気・食料等、飛行時間を最短にする量しか積んでいない。

 だから、俺は船の中でイブリンを見て、心底より落胆した。

 「本当に何てことをしてくれたんだよ。君は修正第七条を知らなかったのか」

 「そんなの、私が知るはずないでしょ。私は普通の小学校の教師だもの」

 船の資材は限られているから、それが少しでも足りなくなれば、ミッションは失敗する。

 乗組員が戻って来られなくなるのを防ぐために、憲法の修正第七条が制定されている。これは人権を制限する特別法だ。

 船の正常な飛行を妨げる行為を行った者は人権を剥奪される。仮に密航者があった場合には、「速やかに船外に放出する」決まりになっているのだ。

 「きっと喜んでもらえると思ったのに」

 イブリンが不満そうに言うので、俺は今のこの事態を説明した。

 「え。そんな。私は船外に放り出されてしまうの?」

 「決まりは決まりだから、あと二十分のうちにそうする必要がある」

 地球の汚染は既に限界に来ており、それを浄化するためには、俺のミッションを成功させ、必要な素材を調達する必要がある。

 いわばこの船は人類の希望を背負った船なのだ。例外はない。

 

 仕方なく俺はイブリンをエアロックの中に先導した。

 イブリンは震えながら俺に言う。

 「ねえ、私は外に放り出されてしまうの?私はそんなに悪いことをしたの?」

 俺は何ひとつ返事を返すことが出来ない。無意識に涙が頬を伝い落ちる。

 イブリンはさらに俺に叫んだ。

 「私はたった四十四キロしかないわ。代わりの物を捨てればいいじゃないの!」

 

 俺はその時、まさに内ハッチを閉める寸前だったが、そこで思い留まった。

 「それもひとつ『アリ』の考え方だな」

 俺は内ハッチを開け、イブリンをひとまず船内に連れ戻した。

 「まだ十五分ある。少し検討してみよう」

 俺には思い当たる物があった。

 惑星での船外作業用のショベル機だ。あれはちょうど五十キロくらいだから、あれを捨てればイブリンの体重と相殺され、速度が落ちることもない。

 そこは惑星の地上に俺自身が降りて、スコップで集めればいいわけだ。

 

 「だが食料は?空気は?」

 食料は一日当たり二千八百カロリーを摂取することになっていた。これを二人で分けると、一人一千四百で、一年間これを続けると、かなり痩せる筈だ。だが、ぎりぎり飢え死にしないで済むかもしれん。だが、片道ならともかくとして、一年間ではかなりヤバイ。

 「難関は空気だな」

 空気は船内で浄化・循環させる装置を備えていたが、水も空気も循環させているうちに浄化し切れぬ要素が溜まり、人体に悪影響が出てしまう。そこで、時々、新しい空気を入れるわけだが、この空気タンクも一人分の量しかなかった。

 「こればかりは仕方が無い。空気を作れればいいのだが」

 「植物と光さえあれば酸素を作れるのにね」

 イブリンは小学校の理科の教師だった。

 

 これがまたヒントになった。

 俺が惑星BNに行く目的は、物資を採取することだけではない。惑星BNは地球によく似た環境を持つから、仮に空気が適合した時のことを考え、植物の種と育成機を積んでいた。

 惑星BNで地球の植物を育てれば、将来的に人類が移住することが出来るかもしれんのだ。

 

 「それじゃあ、この船内でその種を植物に育て、光合成させれば酸素が出来る」

 これで問題解決だ。

 もちろん、「当面の」という限定符付きの話だ。

 こればかりはやってみなければ分からない。

 惑星BNに着くことは出来るだろうが、帰りにも同じことが通用するのか。

 

 女はいざとなれば男よりもはるかに肝が太い。

 深く考え込む俺の様子を見て、イブリンがあっさりと言った。

 「それなら地球に帰らなければいいじゃない。惑星BNで暮らしましょうよ。人類という種を存続させるのが、この飛行のミッションなら、それでも目的を果たしたことになるわ」

 なるほど。

 俺たちがもう一度地球に帰り着くことは出来ぬかもしれんが、少なくともほぼ一年の間は、イブリンと一緒に居られる。

 ここで覚醒。

 

 目覚めて初めて彼女の名が「イブリン」である理由に気付いた。

 たぶん、二人が惑星BNでの最初の人類になる。

 要するに、「俺」が「アダム」になるということだ。

 さしたる盛り上がりの無い平坦な夢なのだが、それだけ元ネタのトム・ゴドウィン『冷たい方程式』の衝撃が強かった、ということだ。

◎死に方もひとはそれぞれ

死に方もひとはそれぞれ

 さすが専門の人の話は面白い。

 土曜に通院した際に、ベッドで看護師のサトーさんと話をした。

 サトーさんは私と年齢の近いオバサンだが、私同様、「あけっぴろげ」(または「ノーガード」)なので、いつも突っ込んだやり取りがある。

 

 この日の話は「ビルから飛び降りた人」のことだ。

 人生に絶望し、自死しようと、建物の上の階から飛び降りたとする。

 普通の人は「途中で意識を失ってしまう」ことが多く、体が弛緩するから、頭から落ちる。(ここは「固い覚悟で飛ぶから」というケースもあると思う。)

 このため、まず助かることはない。

 

 ところが、知能に障害のある者が上階から飛んだ時には、意識を失うことが無いらしい。

 こういう人には苦痛回避のスイッチが入らないようだ。

 それで、空中で無意識に足から落ちようと体を動かし、実際に足から落ちることが多いとのこと。

 ここは自己防衛の本能による。

 

 結果的に、自死を選んだ普通の人は、まず助かることがないのだが、知的障害のある人は5、6階から落ちても割合助かる。

 生垣の中に足から落ちたりすれば、脚や骨盤を骨折したりするが、命は損なわれない。

 

 もちろん、死んだ者には肉体的苦痛は無くなるが、生き残った者は大変だ。複数個所を骨折し、それが骨盤や背骨だったりするから、自死を決意する以前の状況よりもしんどくなっている。

 生き残った人の事例では、半年間の入院治療を受け、その後もリハビリ生活に入った人がいるそうだ。

 幸か不幸か、その頃には自死する気持ちなどさらさら無くなっている。

サトウさんとの会話はここまで。この先は私の領分で、サトウさんには話さなかった内容だ。

 

 苦痛から逃れるために自死を選ぶと、どういう仕掛けかは分からぬが、死の直前直後の姿のまま、この世を彷徨うケースがある。

 これはどのくらい「思い詰めたか」というこことに関わっているようで、病気を苦にし先w見越して死を選ぶ者は、あまり出歩いてはいない。

 本人が選ぶ要素に加え、「遠からず訪れる死」を自覚しているからではないかと思う。

 だが、健康状態に問題が無く、経済的理由や他者との関係に絶望することにより自死を選ぶ場合は、死後もそのまま死の直前の気持ちを反芻することがあるようだ。

 心がその時のままなので、姿かたちもその時のままでいる。

 

 縊死した者は縊死の時の姿だ。首を吊り、そのままでいると、圧力で眼が眼窩から飛び出し、口から下がだらりと垂れ下がる。

 ビルから飛び降り、頭からコンクリートに激突した者は、頭が潰れた姿で道を歩いている。

 心の中は自分のことで一杯だから、何をするわけでもなく、彷徨っているのだ。

 

 ごくたまに、こういう姿が画像に残ることがあるのだが、さすがにその場で捨てる(破棄する)。

 保持しても、あの世を理解するのに何の助けにもならぬからだ。

 そればかりか、「あの世=恐ろしいもの」という誤った認識を助長することになってしまう。

 「あの世」や愚弟的には「幽霊」を恐ろしいものと見なす考え方は、基本的に誤っているし、実際には何ひとつ見えていないと言える。

 

 幽霊はいずれ誰もが通過するステップのひとつだ。それを「恐ろしいもの」として捉えて、どうやって先に進めるのか。

 人間には善人もいれば、他者に悪さを為す悪人もいる。悪人の所業のみを捉え、「人間は恐ろしいもの」と位置付けるのは、ちと短絡的な思考だと思う。

 

 ま、ひとの心のうちには悪心が溢れている。ネットのコメント欄を見れば一目瞭然だ。だが、そういう悪心に支配されることなく、前に進んで行くことが大切な姿勢だと言える。

 

 ここで冒頭に戻るが、高齢になり全身を病気に冒された状態ならともかく、若い人は自死を選んではならない。

 精神的苦痛から逃れようと、自ら死を選んでも、その苦痛から解放されることはない。死後もその苦痛を抱え、あてもなく彷徨うことになる。

 そんなことなら、死なずに捨て身で別の道を切り開くことだ。

 それまでの人生を捨て、新しい場所に移っても良い。それで、道が開けるかもしれぬし、開けぬかも知れぬ。だが、今死ねば可能性そのものが無くなる。

 

 以下は私見であり、符牒だ。意味の分かる者はこれまでこのブログに継続的に目を通して来た人だけ。よって、細かい説明はしない。

 神や仏が手を出して救ってくれることはない。

 かたやアモンは「欺瞞を許さず、因果応報を求める」。

 この世とあの世の理不尽さを正すのは、神ではなくアモンたちの方。

 アモンの声を聞け。

◎夢の話 第969夜 国士無双

夢の話 第969夜 国士無双

 八日の午後五時、通院から帰り、居間で居眠りをしている時に観た夢です

 

 我に返ると、「俺」は麻雀卓を前にして座っていた。

 どうやら麻雀を打っていたらしい。

 (なお「俺」は目覚めている時の自分とはまったく別人格だ。)

 朧げな頭で、とりあえず指につまんでいた牌を河に置いた。

 俺が置いた牌は一筒(イーピン)だった。

 すると、対面に座っていた男が「ロン」と言って、自分の手(役)を押し広げた。

 男が見せた手は「国士無双」だった。

 

 ここで俺の頭がくるくると回り始めた。これまでの総てを思い出す。

 「そりゃ上がれませんよ。あんたの手配にある一索(イーソウ)は早々に河に四枚出切っていたものだ。すなわち、あんたは河からその一枚を拾って手役にしたということだ」

 すると、その四十歳くらいの男は眼を剥きだして怒鳴った。

 「何だと。テメー。言い掛かりをつけやがるのかあ」

 

 ここで、俺の下家にいた中堅企業の社長が口を挟んだ。

 「いや。一索は出切っていたね。私が二枚切った筈なのに、私の河には一枚しかない。端にあったヤツを取り換えたんだろ。一索が六萬に化けてる。だが、その六萬があると・・・」

 社長が自分の手牌を拡げる。

 「タンピン三色をテンパっている」

 これで、対面の男はさらに逆切れし始めた。

 「そんなのは証拠にはならねーだろ。仮にスリカエだったとしても、それを押さえるのは現場でなくてはならない。後になったら水掛け論になってしまうからな」

 社長がすかさず答える。

 「君はここは初めてなんだろ。誰の紹介で入れたの?ここのことは知らないようだが」

 と、社長は俺に目配せをした。

 笑える。河の配列を覚えることなど、ここの常連なら朝飯前だ。

 一回崩して置いて、元の河の状態に戻すことも簡単にできる。棋士棋譜を正確に憶えているが、それと同じこと。

 

 「証拠ならありますよ。まず、ここは街のリーチ麻雀店とは違い高額なレートで打(ぶ)っているから、イカサマ師を徹底して排除する工夫をしてあります。まず天井の三方向からビデオを撮っているので、河の状況は記録されています。それと」

 「それが何だっつうんだ」

「それと、この麻雀牌には一つひとつにICチップが入っています。全自動で牌がセットされると、その際に山のどの位置にどんな牌が乗っているかが記録されます。もちろん、河の捨て牌も同様です。卓で打っている四人には分かりませんが、ギャラリーが進行を楽しめるように、正確な記録を取ってあるのです。それを見ますか?」

 男が押し黙る。

 この麻雀はマンションの一室で行われるバクチだが、ごく限られた者しか入れない。

 原則、この登録メンバーでなくては入れないのだが、メンバーの紹介があり、お試し期間を経て承認を得た時に晴れて新人が自由に出入りできるようになる。

 この男もメンバーの紹介を謳っていたが、そこからしイカサマだろう。何故なら、この部屋の仕掛けはメンバーなら誰でも承知しているから、一切、小細工などしないし、出来ない。 

 

 ここで、俺の上家のムラヤマさんが初めて口を開いた。

 「まあまあ。この人もここは初めてで勝手が分からなかったのだろう。最初からやり直せばいいじゃないか。ここで、皆で乾杯して、今の出来事は水に流そうじゃないか」

 他の三人の返事を待たず、ムラヤマさんは、マスターに声を掛けた。

 「ねえ。皆に飲み物を持って来てくれないか。ドイツのいいビールがあっただろ。この新しい人にはとびきりいいヤツを持って来てあげて。それで、皆が仲直りして、また最初から始めよう」

 この麻雀はいわゆる雀荘ではないのだが、管理人・世話人を一人置いている。仕事の内容が麻雀店のマスターと大差ないので、俺たちは皆、この管理人のことを「マスター」と呼んでいる。

 程なくマスターは、トレイに中ジョッキ四つを載せて運んで来た。

 「さあ、皆で乾杯しようじゃないか」

 「はい」「はい」

 このムラヤマさんは、物静かな口ぶりだが、実は暴力団の幹部だった。近県四つの統括本部長だから、全国規模での幹部と言っても良い。

 そういう背景もあり、このムラヤマさんがもめごとに断を下すなら、俺や社長さんはそれに従う。

 餅は餅屋で、手際よく話を進める術を知っているからだ。

 

 対面の男は、ぐいっとビールを飲み干すと、サイドテーブルに「たん」と音を立ててジョッキを置いた。

 「言い掛かりをつけられたもんだから、俺はついかッとしてしまったけれど、俺の言い分を認めてくれたなら、まあ良いだろ」

 周囲は全然、認めてはいないのだが、この男にとってすれば、証拠を持ち出される前に「不問にする」と言われ、ホッとしたのだろう。

 

 ここで俺が場を取り持つことにした。

 「ここは場末のリーチ麻雀や、それより少し上の千点数千円のお遊びとはかなり違うんですよ。ルールが厳しいし、チェックもしっかりしているから、真っ向勝負。打ち筋もだいぶ違いますね」

 もちろん、麻雀小説や劇画みたいなことはない。

 高額レートの場には、「雀ゴロ」もいなけりゃ「代打ち」もいない。

 きちんと自前でタネ銭を用意して勝負できる者にしか参加資格がないわけで。

 

 「このビールはかなり苦いけれど、本場の味がするでしょ。ねえマスター。お代わりを持って来てくれないか」

 「はあい」と奥から返事が響く。

 

 すぐにビールが運ばれ、俺はそれを再びきゅうっと飲み干した。

 ひとしきり雑談をしていたが、五六分後にムラヤマさんが俺と社長に向かって言った。

 「さて、今日はお開きにしようか」

 え。さっき、「また最初から」と言っていたが・・・。

 すると、下家の社長が俺に目配せをした。

 「ほれ」

 前に向き直ると、イカサマ野郎が椅子にのけ反るように座り、眠り込んでいた。

 酔って眠るには早過ぎる。

 「もしやこれって・・・。あれ(薬)?」

 社長が黙って頷く。

 ムラヤマさんは武闘派の最先頭にいる人だ。あの男が知らなかったとはいえ、目の前で自分をコケにされては、ただで済ませられる訳がない。

 (この先のことは知らぬ方がいいだろうな。)

 「関わったらダメだ」と俺の後ろで誰かが囁く。

 

 何かを見聞きしてしまったら、俺も「関係者」になってしまう。この先、「何か」が起きた時のことを考えれば、何も聞かず、知らずにいるのが一番だ。

 「じゃあ、俺はお先に失礼します」

 そう言い残して、俺はすぐにマンションを出た。

 あのイカサマ野郎がその後どうなったかは知る由もない。

 ここで覚醒。

 

 「社長」の会社は産廃施設で、幾つも山奥の村に焼却施設と処分場を持っている。

 近隣の苦情を避けるため、焼くのは概ね深夜。煙が出ても気付かない。

 周りには従業員数人の他には誰もいないから、「仮に夜中に仏を焼いても悟られることはない」と言っていた。高温で焼却するから、骨の断片すら残らないそうだ。

 もちろん、酒席でのたわ言の類だ。

 そんな昔の記憶をデフォルメして、脳が作り上げた心理ドラマの夢だった。

 

 ところで、麻雀には囲碁や将棋のような格式がない。

 これは多分に「偶然性」に左右される要素があるからだろう。

 その意味では、「牌にICチップを入れ、山のどこにどの牌があるかをギャラリーが見られるようにする」というのはひとつのアイデアだと思う。

 競技者の四人は知らないことだが、ギャラリーは何をどうすればどういう結果になるのを予め予測出来る。最も望ましいゴール(役)は各競技者に対し不平等に与えられるが、食い仕掛けで局面ががらっと変わる。

 そのツキの「食い合い」の応酬を俯瞰的に眺められるのであれば、ダイナミックさが加わる。

◎夢の話 第968夜 空中浮揚

◎夢の話 第968夜 空中浮揚

 七日の午前四時に観た夢です。

 

 我に返ると、「俺」はバイクに乗っていた。

 盛んにバイクに乗っていた頃だから、たぶん、「俺」は二十三歳から二十六歳くらいだろう。

 そのまま山間の道を走っていると、左手にサービスエリアのような施設が見えて来た。

 いや、ここは一般道だから、サービスエリアではなく道の駅だ。

 バイクを駐車場に入れる。

 

 「最近、ここによく来るなあ」

 毎日のように来ている気がする。

(目覚めた後に気付いたが、今は毎日、この場所の夢を観ている。)

 百台くらい入る駐車場の周りに、様々な店が並んでいる。右手には立ち食い蕎麦屋があり、牛すき丼屋があり、産直の八百屋がある。左側には土産物屋が数件並んでいた。

 「こんな山の中なのに、果たして客は来るのか?」

 だが、そんな考えは無用だった。観光スポットに近いのか、割合沢山の車が入っている。

 観光バスの休憩所にもなっているようで、時々、バスも出入りしていた。

 

 とりあえず中を見て回り、その中で美味そうなものがあったら、それを夕食にすることにした。

 だが、どの店を覗いても、どうやら片づけを始めている模様だ。

 時計を見ると、午後四時五十分。ここは五時で終わるらしい。

 この辺は田舎のさらに山の中の施設だ。九時に始まり、五時に終わる。

 

 「そう言えば、前回も食い損ねたんだったな」

 つい数日前にもこの地を訪れたが、その時はシャッターが下りた後だった。

 田舎じゃあ、例え高速のサービスエリアだって、夕方七時には店を閉める。

 ついさっきまで、沢山いた車も今はもう数台しか残っていなかった。

 山の日没は早いから、あっという間に薄暗くなった。

 

 「仕方ない。どこか町の方に行こう」

 街中華でも探して、そこで飯を食べよう。

 そう考えて、バイクに向かうと、あろうことか鍵が無くなっていた。

 ポケットに入れていた筈だが、どこかで落としたらしい。

 駐車場から店に行く時に、横着して、道ではなく芝生の上を横断したから、鍵の落ちる音が聞こえなかったらしい。

 もはや暗くなっているし、これから鍵を探せるかどうか。

 スペアキーを持っていたが、サドルの下に入れていた。鍵を取り出そうと言うのに、鍵が無くては開けられない。

 

 途方に暮れて佇んでいると、背後から声を掛ける者がいた。

 「どうしたの?」

 振り返ると、五十台後半らしき男が立っていた。

 「いや。見物している間に鍵を落としたみたいで」

 「もう暗いから探すのは大変でしょ。今日はどこかに泊まり、明日朝一番で場内を探すと良い。案内所に届けられているかもしれないしね」

 「でも、ここには泊まるところが・・・」

 男が頷く。

 「ああ。大丈夫だよ。ここの横には下に降りる道があるから、それを下ると、下には一応、町らしきものがある。民宿もあるからそこに泊まればいい。大体はいつもがらがらだからきっと泊まれる。もちろん、激安だよ」

 「そうなんですか。じゃあ、下に行ってみます」

 「私もこれから降りるところだから、町まで連れて行ってあげる。大体、四五百㍍くらいだね」

 「すいません。宜しくお願いします」

 

 それから男の後ろを歩き、坂道を下った。

 上の道路と道の駅からは想像できぬのだが、下には小さな町が存在していた。

 きっと住民は七八百人といったところか。

 すぐに町の中央部に着いたが、役場と十軒ほどの商店街があり、街中華も一軒あった。

 「工事の人が来るから、この店は八時までは開いているね。民宿は素泊まりだろうから、後で来ると良い」

 その百㍍先に、男が言っていた民宿がある。

 「知り合いだから、訊いてあげる」

 俺は恐縮して、「どうもあ有難うございます」と頭を下げた。

 男が一人で民宿に入って行ったが、すぐに戻って来た。

 「やはり部屋はあるってさ。でも、この時間に入るから食事が出来ない。これは構わんでしょ?」

 「ええ。勿論です。どうも有難うございました」

 

 ここで俺は男に丁寧にお辞儀をして、民宿に入ろうとした。

 すると、またもや後ろから声を掛けられた。

 「ところで君は学生さん?」

 「ええ。院の方ですが」

 「理系?文系?」

 「文系です」

 男は少しがっかりした素振りを見せた。

 「文系じゃあ、自然科学には興味がない?地球とか、宇宙とか」

 「もちろん、ありますよ」

 すると男がほんの少し嬉しそうな表情を覗かせた。

 「実は私は凸凹大学の教授です。これから私はかなり面白い実験をしに行くから、もし興味があれば見せてあげる。荷物を部屋に置いて、私について来れば?」

 「え。どんな実験なんですか?」

 「重力だよ。地球の重力はどこでも一律一定なわけでは無くて、所々にむらがある。地磁気の方にも場所により大きな偏りがある。重力と地磁気の偏りが重なると、渦のような空間が出来るんだ」

 「すると何が起きるんですか?」

 「少しく重力から解放される。もちろん、TPOはあるけれど、空中に浮くことも出来るんだ。この地のある地点にそれが出来ることが分かったから、私は頻繁にこの地を訪れ、実験を繰り返している」

 「宙に浮く?まさか空中浮揚ってヤツですか」

 「君は今、あの宗教団体の座禅でピョンピョンは寝る姿を思い出したろうが、そういうんじゃないよ。慣れている者は二十㍍くらい空中に上がれるからね」

 「二十メートル」

 それなら話は別だ。重力場、磁場のうねりを利用して、「二十㍍の空中に浮かぶ」って話なら、仮にイカサマでも面白い。

 こんな話なら、誰でもとりあえず見に行く。

 やっぱり俺も教授に従い、実験を見物させて貰うことにした。

 

 教授と一緒に向かったのは、町外れの電柱の下だった。

 田舎町だから、道を通る人も車もない。

 だが、そこには白衣を着た研究者たちが十数人は集まっている。

 半分は学生で、他は職業研究者のよう。

 そこに混じると、先に教授が皆に俺を紹介した。

 「この権田山君は、社会学の大学院生で、今日はこの実験を見に来てくれた」

 「おお」「へえ」とやや大仰な反応がある。

 あれあれ。この独特の雰囲気は、前にも経験がある。確か宗教団体だな。

 それがどこだったかを思い出そうとしたが、思い出す前に実験が始まっていた。

 

 「皆さんが熟知しているように、この世界に一定不変のものはない。必ずどこかに紛れがありむらがある。宇宙の摂理でさえ、局所的には歪んでいるところがある。今からそれを体験してみよう」

 教授が手招きをして、女子学生を呼び寄せる。

 「まずは君が権田山君に見せてやりたまえ」

 よく見ると、電柱の下の地面に石灰でバツ印が記してある。

 女子学生がその上に立ち、目を瞑った。

 「オン・アボキャ・ベイロシャノウ・マカボダラ・マニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン」

 ありゃりゃ。これってサンスクリット語真言じゃねーか。

 と思う間もなく、女子学生がゆっくりと上に上がり始めた。

 周囲から「おお」と声が上がる。

 俺も思わず「マジか」と声に出して言った。

 

 女子学生は毎秒二十センチくらいの速さで、空中に昇って行く。

 見る見るうちに、夜空に消えて行こうとした。

 「こりゃマジで空中浮揚だ。筋肉を使ってジャンプするような代物じゃない」

 女子の姿がすっかり見えなくなったところで、教授が上に向かって声を掛けた。

 「その辺でいいよ。戻って来て」

 すると、上に上がる時と同じスピードで女子学生が戻って来た。

 次に教授は俺の方を向いた。

 「じゃあ、権田山君。君もやってみて」

 「え。俺はやり方を知りませんよ」

 「教えてあげるから大丈夫。もちろん、安全だからね」

 

 こんな面白い話は無いから、俺はすぐにバツ印の上に立った。

 だが、さっきの女子の唱えていた真言を俺は知らない。

 でも、きっと集中力を増すためだろうだから、これは何でもよい筈だ。真言自体には何の力も無いからな。力を生むのはひとの心であって、言葉ではない。

 「ぎゃあてい・ぎゃあてい・はらぎゃあてい・・・」

 見よう見真似でやったが、やはりピクリとも動かない。その姿が可笑しかったようで、周囲が皆声を出して笑った。

 そこで教授が俺に言った。

 「動かないでしょ。これにはコツがあるんですよ」

 「どうすれば?」

 「人間の心はエネルギーを持っている。とりわけ、意思には物理的なエネルギー、すなわち力を生じさせる性質があるんだよ。従って、意思を強くすれば、色んなことが出来る。簡単に表現すれば念力というやつだ。だが、今はその意思ではなく、脳のガンマ波を利用する。例えて言えば、念力が内から発する力だとすると、これは背中を押す力だ」

 「具体的にはどうするんですか?」

 「まずはエレベーターで上の階に向かっている自分自身をイメージすることだね。さっきの彼女は小鳥になっていた。だからあんなに高く上がることが出来た。でも、慣れぬ権田山君が小鳥をイメージしたら、空高く飛び上がってしまう。で、この磁場を踏み出てしまう。だが、ここを少しでも出たら、真っ逆さまに落ちてしまうんだよ」

 ここで俺はハッと気が付いた。

 「最近、日本のあちこちで不審死が相次いでいます。周りに高所が無い場所なのに、何故か墜落死としか思えぬような死に方をしている。あれは・・・」

 「そう。私らとは別グループが同じ実験をしているわけ」

 

 とりあえずやってみよう。何事も実証が基本だ。

 「かんじーざいぼーさつ・・・」

 俺はいつも使っている大学の研究棟のエレベーターを思い浮かべた。

 最上階のボタンを押し、ゆっくりとエレベーターが動き始めるさまを思い描く。

 すると、すぐに「おお」「出来てる」と声が上がった。

 次の瞬間、俺は地上から五十㌢のところにふわふわと浮いていた。

 教授が呟くように言う。

 「スゴイね。初めてでここまで出来る者はそうそういない。集中力が高いのと、普段から想像や妄想を働かせることが多いのだな。この子は我々の強力なメンバーになれる」

 

 だが、俺の方は空中浮揚の楽しさに取りつかれていた。

 「こりゃ面白いや。一体、どこまで上がれるんだろ」

 思い立ったら、やらずには居れない。元々、そういう性分だ。

 俺はすぐさまイメージを切り替え、自分がロケットになり、宇宙に飛び出して行くさまを思い描いた。

 発射され、あっという間に成層圏近くに達する様子だ。

 すると、俺はそのイメージの通りに「しゅん」と音を立てて、空に飛び上がった。

 瞬く間に雲の合間を通り抜け、空高く昇って行く。

 

 だが、快感を感じていられたのも束の間だった。

 すぐさま息が苦しくなり、体が凍えて来た。

 「ありゃりゃ。ちと上り過ぎたか。このまま成層圏を出たら、窒息死してしまう」

 その瞬間、風が吹いて来て、俺の体を吹き飛ばした。

 それと同時に、俺は急速に落下をし始めた。

 「そう言えば、教授は磁場を離れると浮揚できなくなると言っていたな」

 それなら、俺は地表に激突死することになるのか。

 

 「まさかここで死ぬことになるとは思わなかったが、俺は好奇心には勝てない性分だからな」 

 これも運命だ。

 では、死んでから迷わぬように、お経でも唱えよう。

 「かんじーざいぼーさつ・・・」

 それに加えて、駄目元でさっきと同じようにイメージを思い描いた。

 自分がスーパーマンになり、地上にスタッと降り立つ妄想だ。

 そして、見る見るうちに地上が迫り、地面がすぐ目の前に迫って来る。

 「ああ。これでお陀仏だ」

 そう思った瞬間、俺は地面の上に、まさに「スタッと」降り立った。

 「ありゃりゃ。無事に降りてら。一体どうなっているの?」

 ここに教授たちが駆け寄って来る。

 「スゴイね。権田山君。まさか空中でもう一つのポイントを悟り、こっちに降りるとは。君はある種の感覚を持っている」

 

 もちろん、俺が「探し当てた」わけじゃない。

 俺は落下する時に、「たまたま」磁場ポイントの上に落ちて来ただけなのだった。

 ここで覚醒。

 

 夢ではこれと別パターンの展開も同時に思い描いていた。

 そっちは、「やっぱりこいつらも新興宗教の団体で、悪魔の手先だった」という筋だ。

 「俺」が赤外線ライトを照らすと、教授らの後ろにはゾロゾロ悪霊の類が群がっていた。

 

 ところで、最初の「道の駅」には、今は毎日のように訪れている。物を食べずにいるわけだが、これはこのまま食べずにいた方が良さそうだ。うっかり物を口にすると、そのまま戻って来られなくなる場合がある(夢ではないということ)。

◎幽霊が寄り付くステップ

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令和三年二月二十二日撮影

◎幽霊が寄り付くステップ

 幽霊が人に寄り付く過程は主に次のように進んで行く。

1)共感・共振

 その人が持っている感情に反応し、引き寄せられる。生き方暮らし方(境遇)、その時の状況が幽霊のかつてのそれと似ていることが多い。

 周波数の似た音叉が共振するのと同じ理屈だ。

2)感情を吹き込む

 徐々に近づき、その人が持つ感情を増幅・強化したり、補助したりする。

 交流が進むと、姿かたちがその人に近くなって行く。

3)同化・合体する

 心の持ちようがその人と同じになり、一体化する。

 

 幽霊は何かを「してやろう」と思って近づくのではなく、似ているから引き寄せられる。人と同化することで、自我が強化され、魂として延命される。

 自意識は死後、徐々に薄れて行くから、それを補うために、別の自意識の中に入り込む。

 この画像は1)から2)に向かう段階で、背後1メートル前後の位置に立っている。

 幽霊の発する声は朧気だから、直接的な影響は少ない。

 

 なお、幽霊は目視では確認し難いが、画像には時々写る。これは、カメラが赤外線域の波長の光を若干広く捉えるため。

 さらに、ガラス映像に幽霊が入りやすいのは、光が二重交錯するためのようだ。

 鏡では反射してしまい、透過できないので、鏡にはむしろ写り難い。

 

 この画像の次のステップ(2)が、既にお馴染みとなったこの画像の状態だ。

 これは2)で、頭の中で幽霊の声が響くようになっているが、男性には自身の思考であるように感じている。

 この状態でも、自身を顧て、常にそれが自分の本意本心であるかを問うように心掛ければ、「我に返る」ことが出来る。反省し、過ちを悔い改めれば、幽霊にとって居心地の悪い場所になるため、自ら去って行く。

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令和二年十一月二十三日撮影