日刊早坂ノボル新聞

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◎夢の話 第1K95夜 霊剣を授かる

夢の話 第1K95夜 霊剣を授かる

 八月十九日の午前四時に観た夢です。

 

 峡谷に出掛け、自然を満喫している。

 この日は家人を伴っておらず、この場に居るのは私だけだ。

 記念写真を撮るべく、スタンドをセットしてタイマーを掛けた。

 撮影が終わり、画像をチェックすると、例によって、また不首尾が起きていた。

 被写体は私一人の筈なのに、私の周囲には、そこにはいない筈の人影が写っていた。

 一体二体が私に絡みつくのは「別にフツーのこと」で、私が被写体になった時には五枚に一枚はそうなる。これは、かつて心停止を経験したことと関係があるようで、それ以後に格段に増えた。

 どうやら私は、常時「あの世と繋がっている」状態にあるらしい。

 

 思わずため息が出た。

 「いつもこの調子じゃねえか。もはやウンザリだ」

 私の隣には「男」が写っていたが、苦悶に満ちたドロドロの表情だ。

 「こんな写真は他人には見せられねえぞ」

 おまけにこの日はこの男だけでなく、背後に十数体が寄り集まっている。

 画像云々の話ではなく、まずは私に寄り憑いている不浄の者たちを追い払う必要がありそうだ。

 

 普段は一人ひとりに「生命の道理」を説き、慰め納得してもらうのだが、今日はこの数だった。

 いちいち相手をしていたら身が持たない。

 「相手のことを考えずに、ただ救われたい一心でしがみつく奴らだ。溺れる者が救助者にしがみついて溺れさせるのと同じ。最初に溺れていた者が助かり、救助者が溺死するケースが多々あるが、それと同じだ。時にはこういうのを簡単に祓えるツールが欲しい」

 私は切にそう願う。

 

 すると、頭の中で声が響いた。

 「それならお前に、咄嗟の時に使う武器を与えてやろう」

 「あ、これは・・・。お師匠さまの声だ」

 この声は、この何十年の間、幾度となく夢に現れては、私を指導してくれる男の声だった。

 年格好は五十台の半ばで、短髪。いつも白いカッターシャツに黒っぽいズボンを穿いている。

 「お前に宝剣を与えるから、あまりにも煩く付きまとわれる時にはそれを使うと良い。まずは身の回りにある小刀や包丁にその宝剣を下ろし、それで不浄の者を斬ると良い。それでその者の未練を断ち、執着心を分断することが出来るだろう。それにはこう唱え、祈願せよ」

 

 アメツチノミコト、アメツチノミコト、私にあなた様の剣を授けて下さい。

 私はその宝剣で不浄の者の悪心を断ちます。

 

 「宝剣を下ろすものは何でもよい。お前がいつも神棚に備えているご神刀でも良ければ、何なら台所の包丁でも良い。何も無ければ木材で出来た箸にも降ろせる。これは物ではなく念で出来ているから、それがどんな物かには関係がない」

 

 私はお師匠に向かって、深く低頭した。

 「どうも有難うございます。時々、やたら体が重くなるのですが、そういう時には沢山の不浄霊が寄り憑いています。体調によりいちいち構ってはいられない時があり、そういう時に使えるものがあれば助かります」

 お師匠さまは頷き、さらに注意事項を付け加えた。

 「アメツチの剣は、霊だけではなく、人の中にある魂にも力を及ぼすから、生きている者に振り下ろしてはならない。不浄の霊を祓ったら、その剣は私に返納せよ」

 「なるほど。ではお返しする時はこうですね」

 

 アメツチノミコト、アメツチノミコト、剣をお返ししますので、お受け取り下さい。

 

 「文言にはこだわらぬが、それでよい。これは真言などではなく祈願だから、己の言葉で伝えればそれでよいのだ」

 この言葉を残し、お師匠さまは「しゅん」と姿を消した。

 

 私は独りその場に残り、先ほどのことを思い返していた。

 あのお師匠さまは「アメツチノミコト」という名だったか。何十年も指導を受けて来たのに、名前を知らなかった。

 「アメツチ」は「天土(地)」と書くのだろうか。

 「ま、今はアメツチの剣を与えて貰ったことが重要だ」

 今後は不意に抱き付いて来る「不浄の者」を、すぐさま打ち祓うことが出来るようになったのだ。

 これまでは神社やお寺に連れて行き、そこで解き放つようにしていたが、そのための参詣参拝が年に百五十日を超えていた。

 この後は私一人で対応できるようになる。

 ここで覚醒。

 

 伊豆の旅館に現れた古代の霊は、アメツチノミコトと関りがあるようだ。

 ま、本人は「お師匠さま」だから、何かの所縁の者ということ。

 私の傍にアメツチノミコトがいるので、それに反応し出て来たようだ。