日刊早坂ノボル新聞

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◎観音茶屋の蕎麦(小鹿野町)

観音茶屋の蕎麦(小鹿野町
 観音院の坂下五六十㍍くらいのところに「観音茶屋」がある。古民家風のつくりで、蕎麦屋のよう。
 参詣の折に店の構えを見ていたので、帰路に立ち寄ることにした。幸か不幸かこの日は荒天で、客が少ない。

 駐車場に車を入れ、玄関に回ると、やはり古民家だった。
 今流行りの「古民家風」ではなく、元々あった家屋を改築したような印象だ。
 中に入ると間取りが商家のつくりだったから、そもそもが旅籠(宿屋)だったのだろう。このお寺は秩父の札所だから、巡礼の旅人が多く訪れた。それなら宿泊施設も必要になる。

 メニュウを見ると、「茶屋」とある通り、蕎麦だけでなく飲み物やスイーツも揃えてあった。
 とりあえず、分量が少なめの「三段重」を注文した。
 日頃、食事制限の下で暮らしているから、普通の人の一人前は私にはちと多い。イメージでは「重箱の薄く盛った重ねで三枚で一人前」だったが、運ばれて来たものは、各々が0.7人前の盛り方だった。
 食い切れんのかや。
 蕎麦の薬味は、野沢菜なめこおろし、山芋(とろろ)だったが、先に蕎麦の上に載っている。
 少し思案したが、「最初に蕎麦と薬味を混ぜてから、それを蕎麦つゆにつけて食べる」という流れらしい。
 田舎者の私には全然平気だが、都会の人なら「少し味が混じる」と思う人もいそうだ。
 蕎麦つゆは関東西部の伝統を守り、少し塩辛い。昔の味は味醂を使わぬ「出汁醤油そのもの」だったろうから、こちらが古くからの味だ。都会モンだとこれにも抵抗があるかもしれん。
 蕎麦自体は地元産が歴然で、本来の濃い味がする。これなら塩で食べても食べられる。
 この蕎麦にほんの少し粗塩をつけ、これをつまみにして日本酒を飲むと、さぞ美味かろうと思う。
 全部食べられたが、持病アリの者にはちと食い過ぎで、腹がパンパンになった。

 総じて、どこか田舎臭いが、そもそも田舎なので当たり前だ。
 田舎者には懐かしい味だった。
 まずは味噌田楽から始め、少しお酒を飲んでから、蕎麦を食べるとちょうど良さそう。でも、ここには車かバスでしか来られないから、酒は微妙で、予め帰路の足を考える必要がある。