◎夢の話 第1156夜 爆弾
12月29日の午後1時の仮眠中に観た夢です。
ビルの5階と7階の二つの会議室で掛け持ちの会議に出ている。一つの会議に20分出ると、そこを中座し、別の階に行き、また20程話に参加する。その繰り返しだ。
エレベーターがなかなか来ぬので、その都度階段を行ったり来たりしているが、会議が始まったのが夕方だったので、すぐに夜になった。
階段の踊り場には窓があり、外の景色が見えるが、外は真っ暗だ。街灯が少ないところを見ると、俺がいるのは郊外らしい。
7階の会議室に戻り席に着く。
周りのメンバーは見知った顔ばかりだ。
一人ひとりを眺める。
この人は確か五年前くらいに亡くなってたっけな。
あっちは十年前だ。
頭が何故かボンヤリしてものをよく考えられぬが、何だか俺の周囲は全員が「既に死んでいる人」のような気がする。
「もしかして」
会議室を出て、5階の方に行ってみたが、こっちも同じだった。
死人の集まりだった。
「となると」
これは夢だ。俺は夢を観ているわけだ。
この建物だって、夢に出て来る俺の住む巨大マンションの一室だった。
「この建物は俺の体の象徴だ。その中にこの人たちがいて、全員が死人なのだから、要するに俺はこの幽霊たちに取り憑かれているという状況だな」
なあんだ。それなら今に始まったことではないぞ。
驚くには値しない。
「むしろチャンスかもしれん」
幽霊と直接話の出来る機会はあまりない。接触して、きちんと交渉できれば、今後の役に立つかもしれん。
とりあけふざけた行為ばかり繰り返す政治家たちの許に、コテコテノ悪霊を送り込むことが出来れば、自分たちの手で天誅を与える必要がなくなる。
事実上の天罰だし、呪詛は刑法には抵触しない。犯罪にはならぬのだ。
なら、悪霊を仲間に引き込んで、悪人を訪問して貰うのが一番だわ。
「よし。まずは7階の連中から説得しよう」
階段をトコトコと上り始める。
すると6階の踊り場に達したところで、窓の外が突然ピカッと光った。
外を向くと、はるか遠くの空にキノコ雲が噴出していた。
「ありゃ爆弾じゃないか。ウラジミールの野郎。ついにやりやがったな」
あの空の高さなら、爆弾が落ちたのは20キロ先くらいだ。
「それなら衝撃波がここに届くまでは1分45秒くらいだ」
建物の上が吹き飛ぶから、ひとまず地下に逃げるとして、6階×15秒として1分30秒。すぐに駆け下りれば十分間に合う。
思い立ったら動くに限るから、直ちに走り出した。
下の階で廊下にいるメンバーに会ったが、声をかけている暇はないから、黙って通り過ぎた。
「あと1分で死にますよ」なんてことは知らせぬ方が幸せに死ねる。
2階まで下りた時に俺は足を止めた。
「仮にこの場を生き残ったとして、次に放射能風が来るから、地下で生き残っても余命は半日か長くて1昼夜だ。しかも苦しんで死ぬ。それなら衝撃波に吹き飛ばされる方が苦しまずに済む」
ううん。思案しているうちに5秒10秒が過ぎる。
もう一度歩み出すかどうか決めかねているうちに、ゆっくりと覚醒。
プーチンはフィンランド侵攻をやろうとしているらしい。
北欧諸国がNATOに入ろうとしていたのは、今目の前にある危機を想定していたわけだ。
プーチンが領土拡大を志したのは、予言者ババ・ヴァンガの「ウラジミルが世界を制する」みたいな話を鵜呑みにしたからだが、予言者の妄想のおかげで何万人もが苦しむことになる。
その意味では罪が深い。世の中に不安と混乱を巻き起こすから、昔の人はこの手の人間を「魔女」として焼き殺したわけだ。
プーチンは征服者などではなく、ただの狂人だ。
当方はプーチンが街灯に吊るされる姿を早く見たい。
それが因果応報だと思う。
一人の人間が人類を滅ぼすかもしれん危機を招いている。
しかし、あの爆弾の光は強烈だった。
どうか正夢になるなよ。