日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎扉を叩く音 R070107の記録 「洗濯機」

扉を叩く音 R070107の記録 「洗濯機」
 「深夜、玄関の扉を叩く音が聞こえる」話の続き。

 この年末年始は肺炎で一週間ほど臥せっていた。年明けに年賀状を頂いたが、「そろそろ年賀終いの挨拶をするかどうか」で思案し、数日が経過した。
 何分、名実ともに高齢障害者になったし、負荷はなるべく下ろしたい。
 だが、体調不良の底を脱した感があるので、とりあえず頂いた方への変事を返すことにした。
 午前零時を過ぎ、葉書を印刷していると、階下から物音が響く。
 ゴトゴト。ゴトゴト。
 階段を下り確かめると、洗面所で洗濯機が動いていた。
 脱水機が回っていたのだ。
 こんな夜中に洗濯機は使わない。外に音が漏れるから、近所から苦情が来るかもしれん。
 「女房ではあるまいな」と考え、二階に上がってみたが、やはり家人は既に就寝していた。子どもたちも仕事があるから各々の部屋で眠っている。
 誰もいないのに、洗濯機が動いている。
 ま、前にも同じようなことがあり、その時には「母だろう」と思っていた。
 生前の母は当家を訪れると、掃除をしたり洗濯をしてくれていた。亡くなった後も時々、子や孫を見に来てくれているのかもしれん。たまたま来てみたら、洗濯中途のものがあったので、つい生前の習慣の通りに動かした。
 あの世の住人が近づくと、概ね不快な気分になるものだが、今回はそれが無いから、いずれにせよ身近な者だと思う。
 
 つい先ほど、母の喪中葉書を見付けたところだったが、母は平成三十年に亡くなっていた。もう七年が経つわけだ。
 私が死んだ後、母の手を引いて南米のマチュピチュを見に行く誓いを立てているのだが、かなりの間母を待たせている。
 母はいつも子や孫のことを案じていたから、まさか私を迎えに来たわけではあるまい。