日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第527夜 鬼

◎夢の話 第527夜 鬼
 22日に新幹線の中で居眠りをしていた時に観た夢です。

 俺の名前は宋大中と言う。
 俺は独りで、ゴギョウ山に向かっている。漢字で書けば、たぶん「五行山」だ。
 俺がなぜこの山に行こうとしているのか。
 それは、この山にはお宝が眠っているからだ。
 俺の母は重病で、薬代がかさむ。俺の稼ぎでは何年分かの金が、わずかひと月で飛んでしまう。
 頭を抱えていたら、こんな話を耳にした。

「五行山に虹がかかったときに、その虹の根元に行くと、岩窟が口を開けている。その岩窟の中に、金銀のお宝が眠っている」
そこを探し出せれば、一日にして金持ちになれるというわけだ。
ところが、よくしたもので、その話にはおまけがついていた。
「その岩窟の前には、大きな鬼がいて、お宝の番をしている。その鬼を倒した者だけがお宝の所有者となれる」
鬼は人の背丈の三倍はあり、牛を取って食らうような怖ろしいヤツらしい。
俺は小さい頃から棒術の修行をしてきたから、ソコソコの武術が出来る。
だが、鬼となると・・・。
しかし、悩んでいても何も得られないので、とにかくその場所に行ってみることにした。

山の麓に着き、俺はそこで虹を待つことにした。
 あいにくのカラカラ天気で、しばらくは雨待ちになりそうだ。
 そこで、俺はそこに小さな小屋を作り、雨を待つことにした。
 だが、何時になるか分からないから、その間、俺は暇つぶしに山の周りを探索することにした。
 しかし、山の大半は岩で出来ており、どこに行っても岩だらけだった。
 花崗岩の大岩が積み重なったような山なのだ。
「確かにこれじゃあ、どこに岩窟があるか探しようが無いぞ」
 うろうろと歩き回っていると、ひと際大きな岩の前に出た。
 岩の下には隙間があり、中は真っ暗だった。
 中を覗き込んだが、何ひとつ見えやしない。
 「仕方ないな」
 隙間に背中を向け、戻ろうとすると、背後から声を掛けられた。
「ちょっと待ってくれ」
この岩の間に誰かがいるとは思わなかったから、俺はさすがに驚いた。
「誰か居るのか」
「ああ。奥に居る。岩に挟まっているんだ」
「何でこんなところに?」
「ここから出してくれないか。もう随分長い間、俺は閉じ込められたままだ」
暗闇から聞こえる声は力が無く弱々しい。
「何時からここに居るんだよ」
「そうだな。俺が勘定したところでは、もう四百九十九年だな」
ここで俺はピンと来た。
「もしかして、お前は人間じゃないんじゃねえの」
お釈迦様の手で、岩に閉じ込められた猿のことを、俺は聞いたことがある。
しかし、奥の声はそれには答えなかった。

「俺のことをここから出してくれよ。俺は誰かと話をするのも百年ぶりだから、いい加減ウンザリしているんだ」
こりゃ間違いない。コイツは「ゴクウ」ってヤツだな。
「お前。さっき、お前はここに閉じ込められてから四百九十九年だって言ったよな。ならあと一年だ。あと一年でお前はここから出られる」
「そうなのか」
「そうだよ。だから、もう少し我慢しな」
俺のこの話で、声が気色ばむ。
「おいおい。俺のことは置いてけぼりにしようってか」
「一年後くらいに、玄奘ってヤツが来るから、その時にお前を解放してくれる。それがお釈迦様の意向だ。もしそれに歯向かってお前を解放したら、俺が罰せられてしまうからな。俺はこれから鬼をだまくらかして、宝を頂戴しないといかんのだ」
大鬼に正面から対峙したら、さすがに俺もしんどい。だから、俺は鬼を舌先三寸で騙そうと思っていたのだ。
「それなら、俺が手伝ってやる。俺は色んな術を知っているからな。鬼なんぞ楽勝だぜ」
ま、誰でもコイツの状況ならこう言うさ。
「いや。もしお前を解放したら、お前はすぐにキントウンとやらに乗って、ここから去ってしまう。後に残ったのは、この宋大中がお前を解放したという事実だけだ。そうなると、俺は何の利得も得られないのに、仏罰だけが下ることになる」
コイツは知らないだろうが、得てしてこういう時の封印を解くのは簡単だ。
岩のどこかに取っ手がついているか、あるいは簡単な呪文で抜け出せる。だいたいはそういうもんだ。
「そんなことを言うなよ。ここで会えたのも何かの縁じゃないか。俺は恩義を絶対忘れない。お前を置き去りにしたりなんかしないから、どうか俺を解放してくれえ」
俺はやっぱり首を横に振った。
「駄目だよ。あとたった一年じゃないか。五百分の一だと思えば、ほんの僅かな時間だろ」
「馬鹿を言うな。お前がそんなことを言うから、俺は余計に気が急いている。出所間近の受刑者が、あと数ヶ月で出所できるのに、それが我慢できずに脱獄する気持ちをお前は分からんのか。お前の話を聞いたから、俺は余計に我慢が効かなくなった」
そりゃそうだろう。
俺は若い頃に半年ほど服役したことがあるから、その気持ちも良く分かる。
だが、リスクが高すぎる。
俺はコイツを解放した時に、俺の言うことをきかせる術を持っていないからだ。
「ま、考えておく。お前のことを解放したくなったら、また来る」
俺はそう言うと、大岩から離れ、歩きだした。
背後では、「おおい。待ってくれ」と猿が叫んでいた。

ここで中断。
この夢の続きはこう。
虹が出た日に、岩窟を探し当てたのは良いのですが、やはり前に大鬼が座っていました。まともに挑戦しても敵わないし、問答を仕掛けても、鬼の方が一枚上。
そこで、一旦退散し、期間限定で猿を開放し、他に、狼と鷲人間を仲間に引き入れて、鬼に立ち向かうことにしました。
桃太郎かよ!!!
再度、鬼のところに行くと、実は鬼は哀れなヤツだったので、倒すどころか、鬼を助けるために働くことになります。
きちんと書けるのであれば、読める内容になると思います。