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◎老いた踊り子はステージを追われる(343)
依然として、お腹がぐつぐつと煮えている状態なので、ほとんど何も出来ず。
宿谷の滝に行こうにも、平坦な道を50メートル歩くのがしんどい状態です。
とりあえず、神社くらいには行けそうなので、そちらに行きました。
中庭に入ると、どこにいたのか、トラが走り寄ってきます。
ベンチに座り、おやつを与えていると、用務の女性が近づいて来ました。
「猫に餌を与えないで欲しいのですが。上からもそう言われています」
「そうですか」
しかし、この猫はここの用務の女性が面倒を見ていた猫ですね。
ほとんど神社の飼い猫でした。
この猫を目当てに来る参拝客も多いです。
ま、数年前にその女性が辞めたという話を聞いたことがあります。
ここは穏やかに引き下がるところ。
神社の立場としては言い分も当然です。
こういう時にする対処法は、「見つからないようにあげる」です。
トラの世話は、5、6人がしているようですが、おやつを手で上げるか、社務所が仕舞ってからあげればいいわけです。
視野に入らないのは、「存在しない」のと同じです。
存在しないのであれば、当然、お咎めなし。
詭弁で世の中を渡る「安倍イズム」の応用ですが、こういう時は使い道があります。
ま、自分自身を騙すのにはちょうどよし。
どうやら、トラの境遇はいまや野良猫に近い模様ですので、誰かが食事を与えねば、老猫が生きていくのはキツい。
若い頃にはトラも元気で、参拝客に愛想を振り撒いていましたが、今はほとんどじっとしています。
もはや年老いて、動けなくなっているのです。
今年の冬は越せないのではあるまいか。
心細くなっているのか、私が帰ろうとすると、いつまでも後をついて来ます。
野良猫なら、トラを貰って行っても大丈夫な筈ですが、はたして実情はどうでしょうか。
妻が帰ったら相談しますが、最大の難関は当家では夫婦とも、毛のアレルギーがあることです。