日刊早坂ノボル新聞

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◎品評 背盛母銭6枚組

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◎品評 背盛母銭6枚組

 ネット出品物ですが、面倒なので個々の説明を入れませんでした。
 ネットコレクターの層を見ると、応札するのは地元の数人ではないかと思うわけです。
 そうなると、説明は要らなくなります。

 背盛の母銭については、20年位前に無差別にあらゆる入札に応札し、店頭や古銭会でも買い続け入手したことがあります。
 総数で150枚くらいで、当時1万3千円くらいだったのが、たぶん、私が買うせいで1万8千円くらいまで上がりました。

 その時の比率では、大迫の母銭が半分超で、3割が栗林銭でした。
 残りが山内座です。
 橋野銭はかなり少なくて、数枚。
 大橋・砂子渡のような「釜石方面の銭座」については、この左下の1枚だけでした。

 橋野母銭は、原母から作り直しているので、仕様が大迫や栗林銭とは違います。
 地金が黒いのと、輪側が直立しているので、判別は容易なのですが、何せ存在数が少ない。
 地元以外の収集家は、「大迫も栗林も山内銭も区別がつかない」状況なので、一切口をつぐんで、買い求めたのですが、やはり集まりませんでした。
 橋野母銭は5割増し以上の評価でも良いと思います。

 釜石方面の小様母は、みすぼらしい風貌なのに、探すのは極めて困難です。
 単体で値を付けるなら、3万5千円くらいでも「買い」。
 本銭系統なのに、地金が白っぽいので、これも判別は容易ではあります。

 さて、画像の右上が大迫で、つくりは立派ですが、数があります。
 上段中央は鋳所不明母銭。主要銭座に当てはまらないので、当初は偽物かと思っていたのですが、通用銭があります。
 上段左は栗林銭のように見えますが、実際は山内座の初期のもので、僅かに加刀修正を加えていることで、それと分かります。なお、称浄法寺銭の範疇ではなく、実際に使われたもので、収集家の蔵中には「栗林銭」として入っていると思います。

 下段右は山内座の次鋳母で、当百銭の次鋳母と同じ金質になっています。
 これも実際に使用されたものです。
 黄銅母なので、分かりよいですね。
 下段中央は山内座の小様母で、26ミリ台ですが、これから作った通用鉄銭が存在しています。
 下段左が、釜石方面銭。

 1万5千円平均なら、個別に入手する時のことを考えると「タダ同然」ですが、どういう品か見分けが付く人が殆どいません。
 地元には見分けが付く人いると思いますが、地元収集家なら持っていないのは大橋母くらいでしょう。
 
 正直、「買わないヤツの気が知れない」のですが、「見栄えの良い平凡な品」の方がネットでは好まれますね。知見が浸透せず、一般に知られていないと、そんなもんです。 
 売り手としては、1枚ずつ説明をつけて出して行くと、枚単価で3割は上に行くと思いますが、既に興味を失っており、面倒臭いです。

 購入価ベースでは12万くらいだと思いますが、ネットの収集家など「どうせ目が利かない奴らだもの」ということです。目が利くなら、パッと買いますので、力量を測る意味でもちょうどよい出品だと思います。