日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第700話 会食

◎夢の話 第700話 会食
 23日の午前1時に観た短い悪夢です。

 父の依頼で、買い取ったばかりの店を改築することになった。
 そこの経営者は父の知人だったが、跡継ぎがおらず廃業したのを、父が譲って貰ったのだ。
 周囲は田畑だが、良い立地だったので、客が沢山来ていた。
 俺は自分の会社の部下と頭を付き合わせ、建設計画を練っていた。
 この日も会社に篭っていたが、夕方になったので、食事に出ることにした。
 メンバーは俺と部下、事務の女性だ。

 道に下りると、人がわんさか歩いている。
 「年末だし、週末だからだな」
 駅の近くの方に飲食店が固まっていたから、そっちに向かうことにする。
 すると、30メートルも歩かぬうちに、外国人の一行に出会った。

 「ありゃ、オカアサン」
 道を歩いていたのは、妻の母親や弟、姪たちだった。
 「ドウシタンデスカ?」
 「ホテルにいてもつまらないから、街を見てみようと思って」
 そう言えば、妻は「家族が来る」と言ってたっけな。俺は忙しさにかまけて、すっかり忘れていたらしい。
 「ツマハドウシマシタ?」
 「私のために買い物に行ってます」
 驚いたことに、義母は日本語を話していた。
 「日本語を覚えたんですか」
 「ええ。娘に習ってます」
 スゴイ。70歳を過ぎてから、新しいことをしようとする意欲がある。
 俺は40にして、もはやそんな気はない。

 「じゃあ、一緒に食事はどうですか?」
 慣れない場所に放置するわけにも行かないから、夕食を一緒に食べることにした。
 俺は妻の携帯に連絡をし、事務員に店の手配をさせた。

 妻に連絡し終わると、事務員が俺に首尾を告げる。
 「今日は週末なので、中華しか予約出来ませんが」
 「いいよ。急な話なんだし」
 義母たちも外面を気にする方ではないし、美味けりゃ大丈夫。
 結局、十人くらいの団体で、駅前の中華料理屋に入った。

 店の中はもの凄く混雑しており、客で溢れていた。
 なんとなく、前に入った時と様子が違うような気がする。
 「大竜飯店ってこんなとこだっけ?」
 「ついふた月前に経営が替わり、別の人がやっているようです」
 「雰囲気がまるで違うね」
 ま、よくある話だ。
 食事も週末はビュッフェ形式のみで、一人8千円。
 「随分高いね。俺はラーメンでよかったのに」
 義母たちの手前、店を選び直すのも格好悪いから、そのまま食べることにした。
 払いはもちろん、俺だから、8万円の散財だ。
 俺の会社は小さいから、交際費を設定していない。こういう経費は総て俺の個人持ちだった。

 食事を始めたが、何となく味に違和感がある。
 「何だろう」
 答はすぐに分かった。
 素材の中に冷凍食材が混じっているのだ。
 俺はアレルギーがキツいから、その手のはすぐに分かる。
 「義母(おか)あさんは大丈夫か」
 義母も敏感で、前に家に来た時に、スーパーで買って来た平目でムニエルを作ったら、夜中にすっかり戻したことがある。
 値段もそれなりの値をつけていたし、平目を上手に解凍してあったので、うっかり見逃したのだ。
 危なく義母を殺すところだったから、それ以後、俺は輸入食材を一切買わなくなっていた。

 しかし、ふと気付くと義母の姿が無い。
 もしかして・・・。
 姪に訊くと、やはり「トイレに行っている」と言う。
 やはりこの食材ではダメなのか。
 義母が戻って来たので、早々に引き上げることにした。
 「大丈夫ですか?」
 「大丈夫、少し疲れただけ」

 店を出て歩き始める。
 ホテルは駅のすぐ傍だった。ここで妻が合流したが、ひとまず義母をホテルまで送ることにした。
 「ここは人が沢山だね」
 「ま、都心ですから」
 ホテルの前に着き、玄関で義母の一行に挨拶をした。
 「では明日は、私がご案内します」
 次の日は、親族を連れて観光に行くことになっている。

 すると、別れ際に義母が不審げに言った。
 「あれ。会社の人はどうしました?途中で帰ったの?」
 横を見ると、部下も事務員もちゃんといる。
 「え。皆ここにいますけど」
 「この人たちじゃなく、黒い服を着た女性のことよ」

 うわあ、ここで来たか。唐突なのでさすがに驚く。
 「今は夢の中だったか。黒い服を着た長い髪の女なら、もう俺から離れてくれたと思っていたが」
 やはりそんなに甘くない。
 駅に行ってから、ゆっくり眠れていたのに、それもたった2日だけだった。
 そこからは、ひたすら九字を切り、経を唱える。
 ここで覚醒。

 もはや宿命。後戻りは出来ず、前に進むしかありません。
 「お迎え」の「黒入道」の手を逃れるのも大変なのに、その他にも亡霊がわんさか寄り付いて来ます。
 「悪霊サーフィン」は今夜も続く。

 目覚める間際のラップ音のもの凄さときたら、まるで天井や壁をバチバチと掌で叩いているかのような音でした。
 さすがに気が萎えます。
 コイツも実際に経験したことがないと分からない話です。
 「木が乾燥して割れる音」という説明など、ちゃんちゃら笑えます。一度この音を聞いてみろよな。
 まさに「掌で叩いている音」ですよ。ベタンベタン。

 なるほど、心を強くするためには、難行、荒行が有効なのだと思います。
 そろそろそいつも始める必要がありそう。