◎夢の話 第1K49夜 大学にて
十三日の午前三時に観た夢です。
「俺」は二十歳台のよう。
事務局より呼び出しがかかったので、窓口に行った。
女性事務員が出て来て、冷たい口調で言う。
「あなたは二年生の時のドイツ語の単位が二単位足りていませんよ。卒業を半年遅らせて、講義を受け、所定の単位を取ってください」
「え。そんなバカな」
考えなしに外国語の登録をしたので、大学四年間を通じ苦労してしまった。ドイツに興味がないのにドイツ語を登録したのが誤りで、やる気がまったく出なかった。結局、この単位の取得に四年掛かったが、まだ残っていたとは。
確認すると、俺のうっかりミスで、二単位の講義を四単位だと誤認して、ひとつ足りなく登録していたのだ。通常、一年掛かる単位の取得を半年に短縮してくれたのは、大学の温情措置だった。
事務局を出て、構内を歩きながら、俺は思案した。
「もはや仕事を始めているというのに、それを中断し、半年大学で過ごすことに意味があるのかどうか」
心の中で「中退しちゃえば」という声が聞こえる。仕事を得るための大卒資格で、卒業証書を得るために仕事を辞めていたら、本末転倒だ。
しばらく考えたが、次第に「退学しよう」という気になって来た。
だが、ここで俺はあることに気が付いた。
「何を考えているんだよ。俺はとっくの昔に大学など卒業しているじゃないか」
学部、大学院を通じ留年をしたことが無く、普通に終わっていた。
「何コレ?」
となると、これは夢だ。俺は夢の世界にいるのだ。
たぶん、若かりし頃に語学の単位で苦労した経験が、数十年経っても半ばトラウマになっているのだ。
ふうん。
さらに思考が先に進む。
「これは人事の夢だ。人事の夢で悩まされるということは、臨死の危機が過ぎ去ったということだ」
この後どれくらいかは分からぬが、もうしばらくは死ぬことはない。
それが来月か半年後か、来年までかは分かぬが、俺はまた執行猶予期間を貰えたのだった。
ここで覚醒。
数日前に、深夜、工事現場で「ダアン」という音が響いた件について、その場所に行き調べると、あれは「水の入ったドラム缶を角材で思い切り殴りつけた音」だった。物証で残っているのはそれしかない。
何となく、この八か月間、自分を苦しめた悪縁(霊)のひとつが、自分の許を去ったと思う。
そいつが腹立ちまぎれに近くにあったものを殴りつけて行ったのだ。
ま、強力なヤツは去ったが、まだ他に幾つもが私の周囲に屯している。