日刊早坂ノボル新聞

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◎病棟日誌 悲喜交々8/24 「大怪獣の帰還」

病棟日誌 悲喜交々8/24 「大怪獣の帰還」

 今日は家人が職場に出るので、駅まで送り、その足で病院に行った。八時頃だったので、いつもより四十分早い。

 すると、看護師や患者たちから、「今日は早いですね」と口々に言われた。

 内心では「俺が来る時間を測っていたのかよ」と思ったが、週に三回通院し、皆が同じ景色を見るから、ほんのちょっとした違いにも気付く。

 その都度、「今日はたまたま。九時頃に来れば待ち時間が三十分で合理的なので、いつもはその時刻です」と答えた。

 早く来る人は七時半には来ているが、一番の人の開始が八時四十分頃なので一時間以上待つ。

 

 病棟の中を歩いていると、ガラモンさんがベッドに居た。

 「おお、くたばってなかったのか」

 たぶん、一週間から十日ほど別の病院に行っていた。

 おそらくペースメーヵーの交換と定期検査だ。バイパスが何本か繋がっているから、たぶん、カテーテルを入れた。それなら一週間くらいは入院する。

 今月は不在だと分かっていたので、検査の日程表にも載っていなかったわけだ。

 「大怪獣ガラモンも地球に帰還したかあ」

 これで当方も、また入棟順の患者NO.4に戻った。

 ガラモンさんは当方よりも幾らか若い筈だが、心臓病系の患者は治療をする度に年を取る。今は年上に見える。

 

 血管拡張剤の投与を停止させてから、効果が抜けるまで二週間以上かかった。よほど強い薬だったようだ。

 医師は書籍で調べるだけで、薬を飲んだことが無く、副作用は本人にしか分からない。

 対症療法で出された薬をそのまま飲んでいたら、あっという間に、その副作用であの世行きだ。

 患者は患者なりに勉強し、自分の症状と突き合わせて、自分で薬を選ぶ必要がある。

 

 これに早く気付いて良かった。

 三十台の女医には散々抵抗されたが、自分の体と薬の効能については、もちろん、患者の方が熟知している。

 生き死には本人の問題だから、基本は自己決定だと思う。

 まだコロナの後遺症があるのだが、体の重さが半分に減った。

 

 ちなみに、今回の薬はパルクスという血管拡張剤で、下肢などの血行促進に使われるが、もの凄い副作用があるので、よほどのことが無い限り使わぬ方がよい。

 効能は、「下肢の血行が良くなり、重さや痛みが無くなる」。

 副作用は、「強い倦怠感」「胸が苦しい」「血圧の異常な下降」「末梢血管からの出血(特に目)」などだ。

 効能よりも、副作用の方がはるかに重い。

 そのまま続けたら、たぶん、半年持たないと思う。