気がつくと既に夢の中にいました。
そこでは、自分は幽霊となっていて、生きている人をあれこれ眺めていました。
目の前には、男の背中が見えます。男の前にも女性がいます。
男が女性を背中から抱いているように見えたので、一瞬はエッチなことをしているのかと思ったら、違いました。
横に回ってみると、男は女性を羽交い絞めにし首を絞めようとしているのです。
男の体の中にするすると入ります。いわゆる憑依というヤツです。
パッと両目が開くと、男の視線で前の女を見ていました。
男は女性を絞め殺すだけでなく、首をもぎ取ろうと考えています。
ひどいヤツだな。
なんとかこの女性を助けてやれんだろうか。
男の頭の中にいるので、男が感じている手の感触も伝わってきます。
両手で押さえつけている女性の背中付近の肌の感触は、前にも触った経験があるような気がします。
あれ?これってあの人では。
そう思って、男の左手をわずかに動かし、背中の開いた部分に当てさせると、やはりこの肌には覚えがあります。
ああ、このままではこの女は殺されてしまうな。
なんとか助けなきゃ。
念の力で、男の力を緩めさせようとしますが、なかなか上手くいきません。なにせ自分の体ではありませんので、思うに任せません。
再び、男が女性の首を絞め始め、女性は次第にぐったりし始めました。
何とかしなくちゃな。
あせりますが、他人の体なのでうまくコントロールできません。
刻々と女性が死に近づいていきます。
ここで覚醒。
ある女性について危惧することがあり、自分はその人のことをあれこれ心配しているのだなあと、すぐに悟りました。
女性は背中しか見えませんでしたが、肌の感触を手の平が覚えていました。
この数日、家の中でオバケらしき何かがバタバタと音を立てており、家族の間で話題となっていますが、その影響もあったようです。