日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎死ぬ前にしておきたいこと

◎死ぬ前にしておきたいこと
 老境の父が最後にやりたいことは、次の3つ。
 1)海釣りに行く
 2)また家庭菜園を作る
 3)食べ物屋を経営したい

 このうち「家庭菜園」は要するに、家に帰りたいという意味です。介護施設に入る前、父は畑が趣味で、15メートル四方の庭にあれこれ植えていました。
 母が言うには、「雨が降っているのに、畑に這い蹲って草取りをしていた」こともあるとのこと。

 「食べ物屋」はお客さんの反応が伝わる商売なので、「とにかく楽しい」のだそう。思い出を語る時も、本業だったスーパーの話ではなく、レストラン経営の裏話の方をよくします。
 観光バス1台分、60人の客が入って来て、全員が「ラーメン」と頼んだ時の話は、何度聞いても笑えます。
 席が30しかないのに、どうやって出すのか、てな話です。
 気質が似ているようで、私も30歳台の頃は、「練馬の駅前で立ち食い蕎麦屋をやろう」と真剣に思っていました。郷里の土川蕎麦を持って行くだけで勝負になると思いますね。練馬区、豊島区、板橋区辺りは席巻できそう。
 (要するに、この辺は「やたら不味い」ということ。)
 しかしまあ、父は90歳を過ぎているので、さすがに経営は無理だろうと思います。
 
 唯一、実現の可能性があるのは「海釣り」。
 実際、この日曜には三陸沿岸の田野畑に父を連れて行きます。
 しかし、今はかなり冷えますので、よほど天気が良くないと、持病ありの体ではちょっと難しいです。父も難しいが、こちらも心臓がかなりヤバイので、体を冷やすと共倒れになるかもしれません(苦笑)。
 順当には、来年の暖かい時期にするのが無難なのですが、果たして「来年」が来るのかどうか。来年が来ても、きちんと歩いていられるかどうか。
 これは、父と私の二人とも同じ条件です。
 父に見える「将来」は2、3ヵ月後まで。私の方もようやく半年くらいまで見通すことが出来るようになったところです。

 しかし、あれこれ「やりたい」と聞いてしまっているので、何がしかでも実現させてあげないと、悔いを残すような気がします。ま、父が祖父のことで悔いるように、いずれにせよ後悔はすると思いますが。

 ところで、私の「死ぬ前にやりたいこと」は今のところひとつです。
 それは、「映画館の大スクリーンで『アラビアのロレンス』が観たい」です。
 名画座が死滅した今、横に長い画面のこの映画を観るには、映画館を貸し切りにする必要がありそうです。あるいは、小さい名画座を作ってしまう、とか。「5年先」があるならこれですね。絶対に儲かりませんが、今の齢からは、たとえ儲からなくとも続けられればそれでOKです。