日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

『北奥今昔物語』

「北奥今昔物語」シリーズ 『芦名橋』 早坂ノボル

「北奥今昔物語」シリーズ 『芦名橋』 早坂ノボル 本日九日、公式HPに『芦名橋』を公開しました。 ◆著者による紹介文◆ 本作は『姫神雪しぐれ』(文芸社、平静18年)に収録した短編小説である。 同著は、岩手県央から少し北の風土や文化を踏まえた物語が…

◎北奥今昔物語シリーズ 『海濤 ─民話「魚の女房」より─』

◎北奥今昔物語シリーズ 『海濤 ─民話「魚の女房」より─』 標記の短編小説(未公表)をHPにアップしました。 ◆著者による紹介文◆ 本作は未公表作品である。北奥地方の媒体に寄稿しようと思ったが、相手先が見つからなかった(要するにボツ原稿)。 この物語は…

◎甚平坂の話

; ◎甚平坂の話 奥州道中を盛岡から北上するのには、昔は四十四田ダムの東側を通って鵙市に至り、そこから渋民の宿、馬場、巻堀、川口と中継しました。 今とは道筋が違いますが、そちらが本当の奥州道中で、今の4号線ではありません。 ちなみに、四十四田は…

御堂観音

本欄第1話の「よろずの姫」の物語に、亡くなった姫を慰めるために建てられたのが沼宮内の御堂観音だというくだりがありますが、現存する観音様にお参りしてきました。 国道4号線沿いに、小さな看板が立っており、この分岐から細道を入っていくと、その道沿…

第9話 そどめの花の話  (津軽地方。「そどめ」=アヤメのこと)

「そどめの花」の話 (「そどめ」とはアヤメのこと) 今は昔。あるところに父母と娘で暮らす三人家族があった。商人であった両親は一所懸命に働き、暮らしにいくらか余裕も出てきたが、娘が10歳になった頃に母親が病気になり、母親は手当ての甲斐も無くそ…

第8話 魚の女房の話  (雫石地方)

第9話 魚の女房の話 (雫石地方) 今は昔。ある所に正直な漁師がいた。川で網を打ったり、釣ったりして雑魚を取り、その日暮しをしていた。元々欲が無いから金儲けをしようとは思はず、余分に獲った魚などは川へ放してやるほどだったので、家はひどく貧乏で…

第7話(怪異譚) あの世に引きずり込まれそうになる話

第7話(怪異譚) あの世に引きずり込まれそうになる話 この話は知人の実体験である。生々しさを減じるために、場所と時代背景を替えて記すものとした。 今は昔。奥州道を一人の男が北を目指して歩いていた。男は薬売りで、今朝方盛岡を出立したのだが、その…

第6話(怪異譚) 山姥に妻を食われる話 (御明神村:現雫石町の話)

第6話(怪異譚) 山姥に妻を食われる話 (御明神村:現雫石町の話) 昔話では、山姥(やまうば:山に棲む老婆姿の化け物)も重要な登場人物の1人である。この話は、山姥に妻子を食われる類の話の中で、最もシンプルなパターンである。 今は昔。あるところに夫…

第5話(怪異譚) 芦名沢の小豆洗いの話   (馬場:現盛岡市の伝説)

第5話(怪異譚) 芦名沢の小豆洗いの話 (玉山村馬場:現盛岡市の伝説) 昔話では、数多くの妖怪が現れる。これは、日本中で知らぬもののない有名な妖怪「小豆洗い」の話である。 盛岡から奥州街道を北に進み、半日すると渋民の宿に着く。ここで一休みし、…

第4話(女傑伝説) おれんの話  (玉山:現盛岡市の伝説)

第4話(女傑伝説) おれんの話 (玉山:現盛岡市の伝説) 昔語りには、必ず豪傑伝が出てくるが、女傑の話も少なくない。これもそんな話の1つである。 今は昔。巻堀の岩崎から玉山城の玉山氏へ、「おれん」という娘が嫁いだ。おれんは美人の上に怪力の持ち主…

第3話(怪異譚) 化け物屋敷の怪   (西山村:現雫石町の伝説)

第3話 化け物屋敷の怪 (西山村:雫石町の伝説) 西山村の上長山に古びた藁葺き屋根の家があり、そのすぐ後ろの川べりには何百年も経たと見える河原柳が立っていた。雨後のタ日には、緑の小枝がやんわりと座敷の辺りにしだれ掛かっている。その柳の根元は朽…

第2話(怪異譚) 小柳沼の怪物の話 (御明神村:雫石町に伝わる伝説)

第2話 小柳沼の怪物の話 (御明神村の伝説) 御明神村は、昭和30年まで存在したが、町村合併で現在は雫石町の一部となっている。この話は明治33年7月18日に実際に起った話として記録されているため、記述が細に入っている。 今は昔。その日は朝から晴天であ…

第1話(姫君伝説) よろずの姫の物語  (渋民村:現盛岡市の伝説)

第1話 よろずの姫の物語 (渋民村:現盛岡市の伝説) 渋民村大字渋民にお稲荷さんがある。そこは昔、舘であって、平ノ庄司家次という長者が住んでいた跡ということである。これは、その稲荷にまつわる昔話である。 今は昔。沼田屋清吉という人の家に、よろず…