日刊早坂ノボル新聞

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◎病棟日誌 悲喜交々1/11 「自衛隊は忙しい」

病棟日誌 悲喜交々1/11 「自衛隊は忙しい」
 この日の穿刺担当はまたエリカちゃん
 そのエリカちゃんがベッドに来るなり言った。
 「航空ショーが今年は無いんですよ。お母さんが楽しみにしてたのに」
 家族の話だが、いつも細かな話を聞いているので、両親や兄弟のことを詳細に知っている。
 エリカちゃんのお母さんは活発な人で、ダンナを家に置いて北陸から上京し、お台場だの築地だのを見て回る。
 「震災の支援で自衛隊は出払っているそうです」
 なんだかんだ言っても、自衛隊がいなけりゃ、自然災害を含め、いざとなったら右往左往するだけになる。
 ま、あれこれ言うのは観念論でものを言うパヨや都市生活者だ。
 当方は学校でも、災害救助の方法とか、軍事教練を取り組むべきだと思う。ロシアとか中国が侵攻して来た時に、民間でも抵抗する力を持っていた方が、相手にとってやっかいだ。
 サンモニの解説者なら「話し合いで解決すべき」。
 元知事なら「とりあえず逃げるべき」
 みたいなことを言うが、具体性のない空論だ。
 ウクライナでそんなことを言ったら、殴られるだけでは済まない。現実に家族が死んでいる人の前で、観念論をぶつのか?
 永世中立国のスイスでは国民の半数以上が軍人だ。武器庫も分散して保持しており、誰かが侵攻して来れば国民が自ら戦う。
 何も準備しなけりゃ、ただ従属するだけ。
 平和憲法など米国が「俺には仕返しをするなよ」と作らせたもので、そもそも解釈を誤っている者が多い。
 無抵抗であれば、ただ殴られ、奪われ、犯されるだけ。
 また政府があこぎなことをすれば、国民が武器を取ってその政府を打倒できる。銃の使い方は教えるべきだ。
 ま、反論は沢山あるだろうとは思う。もちろんだが、その考え方があることも否定しない。民主主義は合意を基に行われ、基本は選挙で政策方針が決められる。

 脱線したが、自衛隊がいなけりゃ、こういう地震の時には何か月も崩壊したままだ。
 市内には自衛隊基地があり、年に二回航空ショーがあるわけだが、それは本来の仕事ではない。国民を侵略や災害から守るのが務めだ。こと有難い話。
 被災地の人に風呂を提供出来る装備を持つのは日本だけだという。

 「ところで父ちゃん母ちゃんは無事で良かったけれど、家は壊れなかったのか」
 エリカちゃんは新潟の出身だが、内陸の方だという。
 「土の壁なので倒れたかと思ったのですが、大丈夫でした」
 おお、古い農家なんだな。
 壁土と藁をこねて壁に塗った家だ。
 今では殆ど見掛けないが、米を作っているとは聞いたが、「古民家」に住んでいたのか。
 なんだか話が合うと思っていたが、エリカちゃんも「山」の人だったのだな。こりゃ納得だ。

 まるで親戚か何かのように、家族の細かい話をしているので、傍にいた看護師が呆れ気味だった。
 「もうコロナ警戒が一段落したから」と、エリカちゃんにのど飴をひとつかみ渡した。病棟でこの子だけ特別扱いにしているのだが、山の子の雰囲気をかぎ取っていたわけだ。

 以前、エリカちゃんの背後に老婆の幽霊が寄り添っているのを目視し、すぐにお守りを渡したことがある。
 身内とは思えぬバーサンが付きまとったのは、病院で働いていることと無縁ではないと思う。