日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第335夜 悪魔 (その3)

続きです。

ところが、新聞に目を向けたその瞬間に、ビジョンが目に浮かんだ。
「ビジョン」とは、ある場面が、それこそ視覚的に見えるという意味だ。
「4-5」と「コウエイオトメ」という馬の名前が文字で浮かぶ。
これは日経新春杯というレースの馬柱だった。

「4-5」という数値。
「コウエイオトメ」は10番なのだから、5枠だった。
となると、この2つを結びつけるのは、枠の4枠5枠の組み合わせだ。
そう考えると、頭の中で確信が生まれて行く。
オッズを見ると有力どころで、10倍見当。
なら5百枚も買えば、50万だ。
矢も盾もたまらず、銀行に金を入れに行った。

入金後、帰路途中に自分に言い聞かせた。
「ここで冷静にならないと」
買い目が1点なのだからしくじっても被害は少ないが、10番の複勝も保険として買っとこう。
コイツは穴なので軽くでOK。

レースが始まり、ゴール前のたたき合いに。
入線は4-5-6の順。ただし馬番だ。
「でも、それって、いつも必ず最初に買う馬券だよな。となると昨日のうちに当たり馬券を買っている筈だな」
配当は三連単で2千倍。いつも複と単を5枚ずつは買っている。
となると、楽に百万超えだ。

ところが、調べてみると、買い目から抜けていた。
買っていたのは、1-4-5番までで、最後の1つが抜けている。
「4-5」を枠と決めたので、買い忘れていたのだった。
「やられた。うまく騙されてら」
普段通りなら、あっさり的中していたが、あのビジョンが来たことで「あえて外す買い方」をしている。
「コウエイオトメは?」
4着だった。
11番人気だったので上出来だが、3着に入らなければ馬券にならない。

ま、こういうのも時々ある。
オレの馬券は直感だけなので、オッズに影響されることなく高配当をゲットできることがある。
だが、もちろん、しくじることも多い。
はるかに多い!

そう言えば、夢に出て来た悪魔が「俺たちが情報を送り込んでいる」と言っていたっけな。
オレが思い通りになるまで、からかい続けるつもりなのか。
裏の裏を読み切って、大金をせしめたこともあるが、大概はどこかで足をすくわれてしまう。

そう言えば、ロト7も買ったんだっけな。
しかも百通りだ。
オレの場合、直感で動いた時には、大概は何か引っ掛かっている。
ネットで調べてみて、驚愕した。
7つの数値のうち、6つまでの数字が、家族の誕生日になっている。
「これはいつも買ってるよな」
7つ目をどうしたかは調べてみないとわからないが、他は「いつもの買い目」だ。

ところが、この回に限って、その「いつもの買い目」は買っていなかった。
「毎回、この組み合わせで買っているのに、この回だけ買わなかったのか」
そのことにびっくりする。
そう言えば、週末にはやたらビジョンが見えていた。
色んな場面がフラッシュバックのように、頭に浮かんでいたのだ。

ここで初めて、起こっていた事態に気がついた。
「目の前に餌をぶら下げて置き、『俺たちの言うことを聞けば、お前に食わせてやる』と言う。間違っても、オレが自力で解決策を見出してしまわないように、目くらましのビジョンを送っていたのだ」
あの「今なら8億円」の確信。
「4-5」の大きな文字の映像。
総て、オレの意識を散らすための手段だった。

この瞬間、背後から声が聞こえたような気がした。
「ふふふ」というあの悪魔の笑い声だった。
眼が覚めている時に聞こえるようじゃあ、今度のは根が深い。

これでおしまいです。

週末の夢をきっかけに、実際に起きたことでした。
この手のビジョンの裏を読み切って、大万馬券を1点2点で手中にしたこともありますが、多くの場合は「騙し」の要素が含まれています。
「コウエイオトメ」の文字を見た瞬間の「ざわざわ感」は半端なかったので、またも、その確信に騙されてしまいました。

実際に観た「夢の話」ですが、これは話(小説)のネタにはなりそうもない感じです。