◎古貨幣迷宮事件簿 八月の銭評01-02
コロナの影響か七月の売却結果がイマイチでしたので、今月は保留するか思案したのですが、続行することにしました。大勢は今のまま続く見込みで、劇的な変化は起きないと見ています。それなら、金貨類などは売買相場(売り時・買い時)に達しています。
穴銭は景気変動にはあまり関係ありませんが、様子を見ながら、19日頃まで事前に銭評を載せ、23日までを受付期間とする予定です。
今回はなるべく小物類を中心にし、買いやすい品揃えにするつもりですが、他の業務との兼ね合いで点数が増減すると思います。要は体の空き具合によります。
A01 密鋳銭の改造母(銅銭用)
鉄銭用の雑な改造母は「資料価値はあるが骨董価値の薄い品」ですが、銅銭用のは若干、趣が違います。
鉄銭用と銅銭用の違いは割と明確で、鉄銭用は「輪穿に刀や鑢を入れ、砂抜けをよくする」程度なのに比べ、銅銭用は「丁寧に研磨し、必要に応じて谷を鋳浚う」加工を加えます。この違いは、鉄銭はバリを落とす程度で仕上げをしないのに対し、銅銭は面背・輪側を研磨し整えるという作業の相違から生じたものです。
こういう違いは現物を触ってみないと分かりません。
とりわけ、大規模密鋳銭座の銭種に向かう出発点のものである場合があるので、注意が必要です。密鋳銭座の固有銭種と共通する特徴を持つものを見付けられれば、お宝に豹変することになるので当然です。
「加護山爆弾や藤八爆弾に気を付けろ」というのが、改造母を見る時の留意事項になります。
掲示の3品は「少し出来が違う」ことが歴然と分かる品になっています。鉄銭の改造母の出来具合を見慣れていると、少し驚きます。
A02 尾山神社 銭調 念仏銭 (明治九年)
尾山神社は石川県金沢の有名な神社で、これはその神社に前田という方が奉納した念仏銭となります。(百年前のもので特に差し障りがないので、そのまま個人名を記します。)
「銭調」は「納入」の意味ですが、神社に対し念仏銭を奉納しているので、少し奇異に感じます。これも廃仏毀釈と関係があるのかと思いますが、詳細は分かりません。
資料的な意味では、かなり面白い品と思います。
古銭よりも「包み紙の方が価値がある」ケースです。
尾山神社は有名なパワースポットなので、ご利益があるかもしれません。
以下19日まで続伸します。
ウェブページに開示も順次行い、開示の時点からお申し込みを受け付けます。