





◎当面の危機は脱したか
「黒いひと」が身近に来ていると感じ、毎日手立てを打っている。
違和感を感じたら、「とにかく迅速に手を打つ」ことが肝要だ。
このため、この日はお寺に行き、ゆっくりとご供養に努めることにした。
久しく、観音寺に参詣していないので、まずはこのお寺から。
境内でうどん屋が開いていれば、参詣帰りには掛けうどんでも頂こう。
ようやく日高や飯能の裏道を覚え、十時台には観音寺に着いた。
梅の花が咲き始めており、いよいよ本格的に春が来る。
六地蔵の前で、お焼香させて貰いたかったが、看板があり「墓参り以外は立ち入り禁止」となっていた。観光客も来る寺だから、制限を設けぬと檀家衆が迷惑する。これは致し方ないと思う。
この寺には展望台がしつらえてあり、飯能河原を一望できる。川沿いに桜が植えてあるはずなので、満開の頃に来れば、さぞ見事だろうと思う。
御本尊様の前では、まずは母の冥福を祈り、さらに、私の周りに集まる「死してなお浮かばれぬ者たち」の救済を願った。
お寺の中でゆっくりと過ごすと、こころが安らぐ。
きちんと弔っている墓地は清浄な場所なので、この真ん中に公園でもあればよいと思う。陽気の良い日なら、その中で死者に感謝しつつ、昼寝でもすれば、生者死者の双方に安寧がもたらされると思う。
気が付くと、体のあちこちに感じていた重さや痛みが無くなっていた。
ひとまずは、「切羽詰まった危機」は回避できたのではないかと思う。
「黒いひと」の訪問を感じたので、かなり慌てさせられたが、「数日後にこの世とおさらばする」事態は避けられるのではないかと思う。
ま、もはやいい齢だし、さらに私の病状なら、いつくたばってもおかしくない。
腹を括って置く必要がある状況には変わりない。
私と似た気質、同じような体調を持つ人が幾らかいると思うが、とにかく「先んじて制しようとする心構えが重要だ」、と伝えて置く。
ここぞという時には、自身の直感に従って、早期に手立てを打つこと。
悪縁に対しては、「お前のことを見ているぞ」と警告するだけで抑止力になる。
さて、割合早く落ち着いたので、早々に帰路につくことにした。
そこで真っ直ぐ家に帰ればよかったのだが・・・。