日刊早坂ノボル新聞

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◎古貨幣迷宮事件簿 R051103「合金寛永」

◎古貨幣迷宮事件簿 R051103「合金寛永

 時々、質問が寄せられるので、ここに記して置く。

 多くは「雑銭から白銅銭が出たのですが」という照会だ。

 

 今見付かるのは、多くは中国製だ。これは輪側の処理方法でそれと分かる。中国では今も金属型主流なので、和式砂型銭とは出来が異なる。文言にすると独り歩きするので、これは自分で確かめるとよい。中国古銭村で作られる土産用の古銭が参考になると思う。

 鋳地はともかく、石膏型であれば「処理していない」ケースでも、新作であることが分かる。

 

 質問が来た時には、「重量を測って下さい、普通の銭と比べて軽いはずで、合金製。多くはタングステン製になっています」と答えて来た。トレードダラーの偽物と同じ作りなので、かなり前から作られていた。

 もちろん、販売目的といくわけでもなく、主に練習用だったのではないかと思う。

 「白銅ではない」のはすぐに分かるし、銭種が普通品だ。これをお金を出して買うのは、よほど好奇心に富んだ者だ。要は物好き。

 地金が柔らかくて、加工がしやすい。よって、初心者がつくりや仕上げ工法を学ぶにはちょうど良い素材だ。

 

 輪側の処理も、明治以後の方式なのだが、どうやら明治後半にも日本で作られたらしい。通貨としてではなく、コレクター向きでもないから、やはり練習用しか用途が無い。こういうので練習し、いずれは希少品の母銭を作るのではないか。

 以前、「宮城県の雑銭から出た」という自称「白銅銭」を買ったことがあるが、輪側の処理が「人力回転式」、すなわちロクロ式の研磨が施されていた。

 よく考えると、そうなると製作が明治ということになるが、そう言えば「ある銘品」にも「合金製」という触れ込みの品があった。

 

 掲示の画像は、新しい品の事例になる。

 重量を測るまでもなく、輪側が機械式グラインダで加工されており、かつスプーンやフォークを作る機械と同じ装置による。

 かたや白銅質の銭もあるわけだが、こちらは錫成分によることが殆どなので磁性を確認すればよい。おまけに、白銅の参考品も過去に幾度か作られているので、幕末明治以前のつくり方、明治の仕上げ方、昭和以降の加工方法の違いを頭に入れることが必要だ。町工場や鋳造業を訪れて、自分の目で確かめると分かりよい。

 古銭書だけ読んでいると、「訳の分からぬ通説」によく出会うから、きちんとその道の現場まで足を運ぶ必要がある。

 

 なお、明治の作品なら、後方を研究するのに役立つと思う。

 参考品と捨て置く前によく観察した方が良い。

 

注記)既に古貨幣への興味自体を失っており、一発殴り書きの感想である。推敲も校正もしないので不首尾はあると思う。