◎夢の話 第1144夜 バイクは寒い
八月二十五日の午前四時に観た夢。
たまたま路上で昔の彼女に会った。
昔の姿と寸分変わらず、27歳くらいのままだ。
通りの向かいの店のガラス窓に俺の姿が映っていたが、俺自身も同じくらいの年格好だった。
「今の状況はさっぱり分からんが、今この子を手放したら、もう一生会えなくなる」
それなら、二度と離さぬようにすることだ。
そこで、バイクの後ろに乗せて、猛然と走り出した。
「どこに行くの?」と彼女が訊く。
「俺の父母に会って、このこと一緒になると告げる」
ここで我に返るが、それは550キロの距離をバイクで走るって意味だ。
だが、今を逃したら、この子は去ってしまう。このまま突っ走るしかないな。
「500キロなら違反して行けば4時間で着く。あっという間だよ」
ところが走り始めると、あちこちに検問が出来ていて、通行する車やバイクを止めていた。
「おいおい。交通安全週間でもやってるのかよ」
警察の資金調達に付き合っている暇はねえぞ。そもそもそんな暇があるなら、川口でも行って、不法外国人の取り締まりでもやれよな。
だが、ここで気付く。
「ありゃ。俺ってメットをしてねえぞ」
後ろの彼女を見ると、俺と同じだった。素頭。
百%捕まるよな。
おまけに、後ろの彼女はジャンパーを着ていなかった。
秋口だからまだ気温が高かったわけだが、バイクに乗れば真夏でも風の影響で寒い。体温を気温が上回るのは稀だ。
「これから行こうとする先は北国だから、寒いどころの騒ぎではないよな」
実際、既に彼女は震えていた。バイクの体感温度はかなり低いからだ。
「とりあえず、この子にジャケットを着せて、メットを二つ買わなくちゃな」
遠くの方で、警察が何かの集まりをしているのが見える。
順当なら、ここで引き返して、日を改めるべきだが、ウーン。
ここで離れ離れになると、この先、一生会えなくなる気がするな。そんな気がする。
逡巡しながら、ここで覚醒。
バイクではないが、「ここでお互いがあ背中を向けたら、二度とやり直しが利かない」と思った瞬間があった。
実際その通りで、別々の放物線を描いて離れ離れになった。
ちなみに、まだ結婚する前の設定の夢なので、特に問題はないと思う。
あの子は一体どうしているのか。きっとバーサンだよなwww。