日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎扉を叩く音 R070121の記録

扉を叩く音 R070121の記録
 「深夜、玄関の扉を叩く音が響く」話の続き。十五年くらいの間、夜中に玄関をノックしていたが、今は出入り自由の状態になった。

 この日、通院から帰り、夕食の支度を始めると、二階の廊下をどんどんと足音を立てて歩く音がする。
 何時になく大きな音なので、すぐに二階に上がったが、家人の部屋の方から「がたがた」と襖を揺らす音が響いた。
 すぐに家人の部屋に行ってみたが、誰もいない。もしいれば最近流行りの強盗だから、ちと厄介な事態になる。
 雨水管を伝って二階から入るという手口もあるから、扉を開ける時には「刀を持って来ればよかったか」と思った。
 もし強盗が当家に入る時には、生かしたまま返すつもりはない。警察が来る前に耳くらいは削ぐ。人生で泥棒に入られるのは一度や二度ではないので、反射的に「全部の仕返しをしよう」と考えてしまう。

 台所に戻って来ると、今度は息子の部屋から「がさがさ」と物が落ちる音がした。これも尋常ならぬ大きさで、段ボール箱を放り投げたような音だ。そら耳とかいう言い逃れの通じる大きさではない。
 ここで「人間の仕業ではない」と察した。
 何か用事があるか、あるいは自分の存在を誇示するかなどの理由で、相手に分かるような音を立てている。
 さすがに腹を立て、すぐに息子の部屋に行った。

 「お前な。いい加減にしろ。ここは俺の家だぞ。勝手に上がり込んで来てがさがさと音を立てるんじゃねえぞ」
 俺がいざ完全にキレてしまえば、政治家の孫が何人か呪い殺されるんだぞ。この件とは関係ないが、障りってのはそんなもんだ。

 すると程なく、今度は玄関の廊下の方でどこどこと足音がする。
 まるで家人が帰って来たかのよう。
 一瞬、実際に家人が帰って来たのかと思い、気配を探るが、当人が現れぬので、さっきの延長だった。
 「言っとくが、俺はもう十分に腹を立てているからな。俺を殺すことは簡単にできるだろうが、その後が大変だぞ。俺は間違いなく悪霊の仲間になるからな。要はお前と同類だ。完全にお前を滅ぼすまで止めねえぞ」

 ついでに政治家の周りも。
 ここまで言いつけて、ようやく静かになった。

 この日は尋常ではない音だった。
 目の前に実体化したヤツが現れても不思議ではないと思った。
 地震でも来るんじゃあないのか。