◎夢の話 第1105夜 親族会
五日の午前二時に観た夢です。
我に返ると、実家の長椅子に座っていた。
親戚の集まりがあり、郷里に帰ったのだ。
冠婚葬祭の何の集まりなのかは分からない。周囲には礼服を着た人たちが沢山いる。
父母はソファに座り、来客の対応をしている。
奥の間の方では、声高に話す男たちの声が響いている。
「ああ。あれは下の叔父だな」
論争をしている相手は、上の叔父だ。
二人に会うのは随分久しぶりだな。
ここで背後から声を掛けられる。
「※※ちゃん。元気にしてた?」
「ま、何とか生きてますね」
ひとまずそう答えたが、自身の不安や弱り目は語るべきではないと思いなし、「可もなく不可もなくです」と付け加えた。
この時、俺に声を掛けて来たのは従姉だった。
ここで玄関先で物音がしたが、遠隔地からの客が来たようだ。
中に入って来たのは、東京に住む従妹だった。
「おお、※※※ちゃん。久しぶりだねえ」と声を掛けた。
この子は一人暮らしをしているが、腎臓が悪いので皆が心配していた。
そう言えば、我が血族は腎臓病になる者が割といる。遺伝形質として持っているのかもしれん。
頭がよく働かぬが、ここで薄らぼんやりと思い出す。
「あれあれ。今ここにいるのは、全員が既に亡くなった人たちだ。生きているのは・・・」
顔ぶれを見渡すが、存命の者の顔が見当たらない。
何だか背筋がぞわぞわする。
ここで徐々に頭が覚醒し始めた。
「おいおい。亡くなった親族の夢を観たり、『死んだ人に会った』と言い始めるのは、死期が近づいている者に共通の傾向だと言われているぞ」
となると、これはとんでもなく不味い状況じゃねえのか。
ここで俺はひとまずトイレに行くことにした。小用でも足しているうちに、もう少し頭が働くようになるだろ。
用を足して終わり、トイレから出ようとすると、居間の方から俺を呼ぶ声がした。
「※※ちゃん。早く来(こ)う」
久々に顔を見るから、物珍しいらしい。でもま、ひとまず洗面所で顔を洗って、頭をはっきりさせることにした。
「はいはい。今戻りますから、もう少し待っていて下さい」
すると、居間や奥の間にいた全員が声を揃えて合唱した。
「※※ちゃん。皆が待っているから、早くこう」
冷や汗を掻きながら、覚醒。
この後、たぶん、祖父の本家のお祖母ちゃんが得意の民謡を歌ってくれる展開になる。
目覚めた後で一人ひとりの顔を思い出したが、今、生きている人は一人もいなかった。現実味があるだけに、そんじょそこらの怪談より、こっちがよっぽど怖い。