明朝、みちのくに向けて出発するので、夜中の内に起きて支度することにしました。
概ね、3時頃には目覚めるつもり。
目覚まし時計をセットしなくとも、大雑把には起きられます。
誤差が出ても1時間か2時間でしょ。
大人なので、寝ても深層意識のどこかに「起きねば」という圧力をかけられます。
夜のニュースを見ながら、いつの間にか寝入っていました。
次々に夢を観ます。
他愛のない内容で、身の回りの人とのささいな出来事が出て来ます。
これぞ、まさに夢です。
唐突に頭の中で声がします。
「寝過ごさないようにしないとね」
それに、自分で答えを言います。
「そうだよな。起きられる時に起きておくかな」
目をゆっくり開くと、もちろん、ここは居間の中。
居間に寝そべって眠り込んでいたのですから、当然です。
視線を前の方に向けると、女が1人こちらに背中を向けて座っていました。
「〇〇(長女)か」
リクルートスーツ姿で、頭の髪を結んでいました。
うなじの所の毛が引っ張られている辺りや、スーツの縦線がはっきり見えます。
まだ頭がよく働かず、そのままぼおっと眺めます。
「待てよ。ウチの娘は大学院に進学する。就活はしないんだよな」
おかしいぞ。
女は依然として、こっちに背中を向けたまま、床に正座をして座っています。
「嫌だよな。床に正座なんて、今では誰もやらない」
まさか、こんなにはっきり見えているのに・・・。
ここからは完全に現実の世界です。
「よせよせ。ヤメロ」
手を振って、起き上がります。
立ち上がって見なおすと、ようやく姿を消していました。
自分の意識が創り出した映像なのでしょうが、リアルすぎます。
うなじの所で束ねた2つ編みの髪が、いかにも強情そうな感じでした。
「昔、中学生くらいの時に、ああいう感じのうなじを見たことがあるなあ」
幽霊にせよ、自意識の創り出したイメージ(妄想)にせよ、目の前の現実として見えていました。
さすが11月です。
旧暦では今が10月で、これが本来の神無月。
神さまのことは知りませんが、この世とあの世が交わる時になってます。