◎夢の話 R070719「山門下」
◎夢の話R070719「山門下」
七月十九日の午前三時に見た夢です。
誰かの葬儀があり、お寺に向かったのだが、電車が止まってしまい間に合わなかった。
山門の前に着いたのは、もはや午後五時だった。
「今はもう埋葬も済んでいるでしょうから、お墓でお焼香させて貰いましょう」
そんな話をして、中に入ろうとした。
ところが、山門下に僧侶が立っており、門を閉じようとしている。
「最近、夜に外国人の窃盗団が来て、院内を荒らされることがありましたので、午後五時には山門を閉鎖することにしました」
それでは仕方ない。
日を改めて弔問することにした。
山門を後にし、門前町の通りを歩く。
次第に薄暗くなっており、両側に赤い灯りが点々と灯されている。家々の軒先に提灯が下げられているのだった。
店自体は少しずつ閉じられているようだった。あちこちからがらがらとシャッターが閉まる音がする。
数十㍍ほど歩くと、何となく背後に圧力を感じた。
何気なく振り返ると、夕闇の中、こっちに向かって歩いて来る人影が見える。
三十㍍ほど後ろだった。
薄闇の中なので、ぼんやりと人のシルエットが浮かんでいるが、一人は白い巫女着を着た女性で、隣に同じく白い着物を着た女児を連れていた。
「あれあれ。ここはお寺の近くなのに」
場にはそぐわぬ装束だったから、足を止めてその二人を見た。
これって、生きている人間なのか。
ゆっくりと白いシルエットが近づく。あと十五㍍で、顔が少しずつ鮮明になって来た。
「ああ、けして邪な者たちではないな。俺に会うためにわざわざ出向いて来たのだ」
こりゃ助かる。俺は現状を打破できずに、ゆっくりと死に向かおうとしている。
ここで、道の両側にも気配があることに気づく。
家々の軒先に、人影が蹲っていたのだ。
「子どもたちだ」
数十人の子どもたちが、通りの両側にしゃがんでいたようだ。
そこで巫女と女児に伝えた。
「この子らは可哀そうに行く当てもなくじっとしていた。なら俺より先にこの子らを導いてくれ」
二人はじっと俺の顔を見ている。
周囲ではさわさわと人の動く気配がして、子どもたちが集まって来た。
助けて欲しいわけだ。
そのままじっと様子を見ていたが、子どもたちは巫女さまたちを通り過ぎて、俺の傍に寄り着いた。
「なんてこった。俺の方に助けて欲しいのか」
それもそうだ。
俺は普通に地獄と行き来しているのだった。
ここで覚醒。
子どもたちが行く先は天国極楽ではなく幽界だった。
己を見詰め直すことが出来るようになるまで、長くそこにいる。昔はそこを「賽の河原」と呼んだ。