◎夢の話 第779夜 鰐
2月23日の午睡時に観た夢です。
静かな朝のこと。
湖の畔(ほとり)を歩いている。
湖面は穏やか。日光を反射してキラキラと眩しい。
遠くに目をやると、平坦な森林が広がっていた。
「ここはどこだろ。オーストラリアか」
山火事が収まらず大変だと聞いたが・・・。
湖に視線を戻す。水辺を追って行くと、数十メートル離れた水際の灌木が揺れていた。
「何だろ」
じっと見つめると、その動きの主が姿を現した。
体長が十二三メートルもあろうかという鰐だった。
「こりゃ不味い。ここは人が散歩する遊歩道だから、誰かあの鰐に食いつかれるかもしれん」
すると、そこに人が近づいてきた。
「あ。あれは」
俺の後輩で、一時、俺の会社で働いてくれたK君だった。
K君はたまたまここに旅行に来ていたのだ。
「おおい。そこは危ない。こっちに来るなあ!」
手を振って叫ぶが、声が届かないらしく、反応が無い
すぐ後ろには、K君の連れと思しき人々が歩いていた。
「おおい。来るな。そこには鰐がいるぞお」
両手を振って叫ぶが、やはり聞こえないらしい。
必死で手を振っているうちに、ようやくK君が俺に気付いた。
K君は笑顔で俺に手を振って来た。
「そうじゃない。俺は危険を知らせているんだよ」
K君は旅先でたまたま俺と会ったものだから、挨拶を返しているつもりらしい。
「これじゃあ、らちが明かない」
俺はK君の近くまで行って、危機を報せることにした。
「鰐だ。そこに鰐がいるぞおう」
走り寄りつつ、大声で叫び、鰐を示した。
「ああっ」
俺の声は届かず、K君は鰐のいる茂みに近づいた。
すると、突然、鰐が飛び出して、K君に齧りついた。
「何てこった」
しかし、K君のことを案じている暇はなかった。
何やら殺気立った気配を感じ、後ろを振り返ると、そこには自ら上がって来た鰐が俺に迫っていた。
鰐はほんの数メートルのところまで近付いている。
それも一匹だけではなく、三四匹が後に続いていた。
俺は大慌てて、湖岸を離れ、陸の方へ走った。
ここで覚醒。
「鰐」は概ね、「危機の象徴」で、具体的な危険や敵意が近づいていることを報せる意味がある。
健康な人なら、人事上のトラブルを暗示することが大半だが、当方の場合は、社会とは隔絶された生活を送っているから、最もありがちな危機とは、病気だろう。
今であれば、「コロナ19」ということだ。
しかし、夢の中の「俺」はかろうじて危機を免れている。
危機は来るが「何とか乗り切る」という暗示があるのかもしれん。
心配なのはK君の方だろう。この数年、K君を思い出すことは無かったのだが、唐突に夢に現れた。
当方ではなく、K君の身に生じる危機を暗示しているのかもしれん。
何かそれを伝える手段があれば良いのだが、今は連絡先も分からなくなっている。