日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎もし生れ変わったら

もし生れ変わったら
 家人の勤務する小学校の校長先生は五十台だが、先日の職員会議で教員皆にこういう質問をしたそうだ。
 「あなたは生まれ変わりたいと思いますか。また生まれ変わったら何をしたいですか」
 これを教員一人ずつに訊いたそうだ。世間話ではなく、一人ひとりに回答させた。

 家人によると、校長先生はあれこれ家庭の問題を抱えているらしい。
 子どもがいないこと。奥さんとは再婚で、何か問題があるらしいこと。現状に不満があるから確かめたくなる。
 ま、そうでなくとも五十台なら、「もうやり直しの利かぬ年齢」だ。リセットして新しい人生を歩むのも、概ね40台くらいまでに始めないと先がしんどい。

 先生方は皆が「生まれ変わりたい」と答えたそう。
 別の職業だったり、スポーツだったり旅行だったりと、今はし難いことを新しい人生ではやってみたい。
 校長先生の指名が家人の番に来ると、家人はこう答えたそうだ。
 「私は今の人生で良いです」
 すかさず校長が「どうしてですか?」と訊いて来た。
 家人は「生まれ変わった先の人生が今より良くなるとは限りませんから」と答えた。
 新しく生まれて見たら、父親がロクデナシで、酒を飲んでは暴れてばかりいるかもしれん。そんなのは、そうなってみなければ分からない。
 少なくとも、今は自分のものとして人生を改善して行くことが出来る。
 そういう答えをしたが、「今が良い」と答えた教員は一人だけだったとのこと。

 ダンナはひとまず感心した。
 「へえ。そうなの。お母さんの説にも一理あるな」
 と答えたが、ここですかさず質問が飛んで来た。
 「じゃあ、お父さんは生まれ変わりたい?それは何故?生まれ変わったら何をしたいの?」
 (ここは内心で「来ました、来ました」と思った。お鉢が回って来たぞ。)

 当方は即座に「そりゃ生まれ変わりたいさ」と答えた。
 「どうして?」
 「次の人生では、今の何倍もお前のことを大切にしたいからさ」
 我ながら「歯が浮く」どころか、バラバラと抜け落ちろうなセリフだわ。
 家人はでっかい声で「絶対に嘘だああ」と叫んだ。www

 ギャハハ。この答え方は家人がダンナに数十年間要求して来た答え方だ。
 男は真面目に「レバタラ」と頭で考える生き物だが、女は違う。女は感情で考えるものだわ。
 それくらいは、この齢になれば弁えているから、しくじるわけがないぞ。
 ま、「法螺やおべんちゃらは数十倍の大きさで言う」というセオリーから見ると、少し小さかったか。申し訳程度だとそれが相手にも伝わるから、腹を立てる人もいる。
 雲を掴むようなでっかいお世辞は「法螺話だ」と分かる一方、絶対に嫌な気はしないもんだ。

 少し足りなかったのは、「生まれ変わる話」の直後に、「そう言えばお前の好きなケーキを見掛けたら買って置いた」と冷蔵庫を示す、みたいな行動だ。
 「嘘だ」「おべんちゃらだ」と思っても、行動が伴っていれば、絶対に悪い気はしない。