日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

古銭

◎「背盛字銭の新研究」を読む (その7)  暴々鶏 

◎「背盛字銭の新研究」を読む (その7) 暴々鶏 「背に盛の字を入れて領内限通用とせよ」という幕府の命令を受け、急遽、江戸深川俯永を台とする母銭を作った。これが(一)の原型であり、実際のところ、(二)以降とは面文の書体が異なる(参考図4)。 常…

◎「背盛字銭の新研究」を読む (その6)  暴々鶏

◎「背盛字銭の新研究」を読む (その6) 暴々鶏 ◆「大迫銭座」 (続5) 十五号499頁(12)~501頁(13) またこの原母を銀造とする説もあるが、これも眼界狭い我らにはわからない。平尾氏愛蔵のものは昭和7年其着衆仙輯に於いて、これを銀鋳盛岡当…

◎「背盛字銭の新研究」を読む (その5)  暴々鶏 

◎「背盛字銭の新研究」を読む (その5) 暴々鶏 さて、「新研究」の文脈に従い、小田嶋及び当時の郷土史家がどのような認識をもって「背盛字銭」を眺めていたかを同時進行的に確かめる。 これまでのところ、我々後代の者が持つ疑問は主に次のようなことであ…

◎「背盛字銭の新研究」を読む (その4) 暴々鶏

◎「背盛字銭の新研究」を読む (その4) 暴々鶏 本文の読解に戻る。現在の収集家にとっては、最も解釈に困る箇所である。 ◆「大迫銭座」 (続3) 十五号497頁(6)~499頁(9) 従来盛岡藩鋳造背盛字異書と称さるるものに比し、第一に眼につくのは形…

◎「背盛字銭の新研究」を読む(その3補足)  暴々鶏

◎「背盛字銭の新研究」を読む(その3補足) 暴々鶏 このシリーズは現存品の分類や鑑定を志向するものではないから、これについてはあくまで脇話の類になる。前回の話は、あくまで出発点である「新研究」の内容に関わるところの銭影(型)について、幾つか問…

◎「背盛字銭の新研究」を読む (その3)   暴々鶏

◎「背盛字銭の新研究」を読む (その3) 暴々鶏 報告文を「読む」ことの意味は、単に「眼を通す」ことに留まらず、一言一句を吟味し、書き手の文脈(意図)に沿った意味を解釈することにある。この「背盛字銭の新研究」や『岩手に於ける鋳銭』については、…

◎「背盛字銭の新研究」を読む (その2)      暴々鶏 

◎「背盛字銭の新研究」を読む (その2) 暴々鶏 引き続き、原典を読み、一つひとつについて見解を述べる。 小田嶋古湶「背盛字銭の新研究」(『南部史談会誌』より) ◆「大迫銭座」 (続2) 十五号496頁(3)~497頁(4) (以下原文) まず発表前に…

◎「背盛字銭の新研究」を読む (その1) 暴々鶏 

◎「背盛字銭の新研究」を読む (その1) 暴々鶏 研究の基本的姿勢のひとつは「原典に当たる」というものだ。 明治期半ば以降、「南部史談会」が岩手県の郷土史研究の拠点になっており、議事録を『南部史談会誌』にまとめているので、これを一つひとつ読解し…

◎古貨幣迷宮事件簿 「希少小判のリスク」

◎古貨幣迷宮事件簿 「希少小判のリスク」 画像の品は天保小判で、昔、一般の人から買い取った品だ。 埼玉は昔から米が取れたから、こういうお宝がまだ蔵の中にたくさん眠っている。 この時には、他に慶長小判があり、二枚ひと組で持ち込まれた。「お祖母さん…

◎古貨幣迷宮事件簿 質問に関する回答 「銀銭のつくり方と古色」

◎古貨幣迷宮事件簿 質問に関する回答 「銀銭のつくり方と古色」 ウェブページの質問欄を通じ、次のような照会があった。 私(暴々鶏)なりの回答を添付する。 質問)「割と近年のことだが、某地方貨が市場に相当数出現したことがある。やはり地元の有名収集…

◎古貨幣迷宮事件簿 「これは日本銭ですか」の正式回答

◎古貨幣迷宮事件簿 「これは日本銭ですか」の正式回答 個人的な鑑定意見を基に、広く意見を集めましたが、特に反論も無いようですので、下記を質問者様への正式回答とさせて頂きます。 回答 この品は、輪側を全く処理していません。 通貨製造の銭座(貨幣司…

◎古貨幣迷宮事件簿 「これは日本の貨幣ですか」 質問と回答

◎古貨幣迷宮事件簿 「これは日本の貨幣ですか」 質問と回答 ウェブページ版の「古貨幣迷宮事件簿」の質問欄を通じ、次のような質問が寄せられた。 正式回答はまだだが、ひとまず現在考えられ得ることを記す。 なお質問自体は中国から寄せられたものだ。 <質…

◎古貨幣迷宮事件簿 「中国銭に関する質問の解題」

◎古貨幣迷宮事件簿 「中国銭に関する質問の解題」 前回、若手収集家に中国銭一式を渡す時に、ひとつ質問をした。 「これを集めたのは大陸に赴任した軍人だが、彼はこれをどうやって集めたと思うか」。 この回答が寄せられていたので、答え合わせと解題(糸説…

◎古貨幣迷宮事件簿 「雑銭の見立て 応用編」

◎古貨幣迷宮事件簿 「雑銭の見立て 応用編」 前回の中国雑銭の続き。 家の中の机の下やソファの陰などから、いまだに雑銭が出て来る。 もはや数十万枚は売却した筈だが、それでも段ボール箱の陰にビニール袋が隠れている。画像は昨夜、本棚の後ろで見付けた…

◎古貨幣迷宮事件簿 「中国雑銭の品評について」

◎古貨幣迷宮事件簿 「中国雑銭の品評について」 整理ロットへ掲示した「復員兵のコレクション」は、従前から交流のある若手収集家が購入した。 「雑銭の会」の「盆回し」の流れは、単に品物のやり取りだけではなく、意見交換を行い、情報を共有することが旨…

◎古貨幣迷宮事件簿 「整理ロット05の品評」

◎古貨幣迷宮事件簿 「整理ロット05の品評」 これはたまたま入手したものだが、開封して驚いた。 小ぶりの段ボール一つの中に米切手が沢山あり、中には元和五年の記年のものもある。元和五年と言えば1600年代の初めで、江戸幕府が開闢した初期のものだ。 …

◎また小鬼が出て物を隠す

小鬼は実在する ◎また小鬼が出て物を隠す 少し前に、循環器の検診に行ったのだが、その時に私の主治医に、「死後の存在を信じるか?」と訊いてみた。 要は「幽霊がいると思うか」という質問だ。 その医師は私の命の恩人で、かつきちんとした科学者で、理路整…

◎古貨幣迷宮事件簿 「整理ロットの品評 M03」

◎古貨幣迷宮事件簿 「整理ロットの品評 M03」 中国銅幣・銀幣の雑銭五十枚程度。 コロナ前には中国のコレクターが銅幣を買い集めていた。その頃売却した残りになる。 これらを入手した経緯については幾度か記した。 長野を訪れた時に、たまたまGパン屋の閉店…

◎古貨幣迷宮事件簿 「整理ロット」の開示

◎古貨幣迷宮事件簿 「整理ロット」の開示 穴銭はなるべく雑銭の会旧会員に渡したいと思って来たが、そろそろ締めくくり時だ。近代貨やあまり鑑定の難しくない品であれば、子どもたちに私ネットオークションに出させればよいが、ネットでは込み入った穴銭は売…

◎古貨幣迷宮事件簿 「南部仰寶小極印打の解法」(続き2)

◎古貨幣迷宮事件簿 「南部仰寶小極印打の解法」(続き2) 思い出話をしつつ品評を行う。 前回、「下げ渡しは先輩の厚意によるもの」と記したが、収集の先輩の中には疑問品を後輩に差し込む人もいる。結果的に勉強になるのだが、その場合は「下げ渡し」ではな…

◎古貨幣迷宮事件簿 「南部仰寶小極印打の解法」(続き)

◎古貨幣迷宮事件簿 「南部仰寶小極印打の解法」(続き) 盆回しの懸賞となる対象レースが今日の天皇賞だった。 一番人気のタイトルホルダーと、菊花賞馬のアスクビクターモアの馬番を選んでいた人がいたので、「今回は持って行かれた」と思ったのだが、レー…

◎古貨幣迷宮事件簿 「称明治吹増銭の仕様」

◎古貨幣迷宮事件簿 「称明治吹増銭の仕様」 このスレッドは「古貨幣について結局分らなかったこと」を記録に残すもので、要は忘れ物整理のためのものだ。結論を報告する意図ではないので念の為。 まずは思い出話から。 三十代の時に会社を作ったが、国と地方…

◎古貨幣迷宮事件簿 「背文銭の金替わり」解説編

◎古貨幣迷宮事件簿 「背文銭の金替わり」解説編 (1)黄銅銭 黄銅と言うより真鍮銭なのだが、真鍮ではごく普通の背文銭まで含まれる。 金質は背元銭に時折見られる「真っ黄色の銭」と同じなのだが、こっちは慣用的に「真鍮銭」と呼ばれていたようだ。金属の…

◎古貨幣迷宮事件簿 「文銭の金替わり」

◎古貨幣迷宮事件簿 「文銭の金替わり」 掲示の画像は、文銭の金替わりに関するものだ。同じような関心を持つ人がいるかどうかを確認するために、一度盆回しに「下値千五百円」で掲示したことがある。かなり時間が経過してから、数人が照会して来たが、現品が…

◎古貨幣迷宮事件簿 「四月盆回し出品の解説」(続)

◎古貨幣迷宮事件簿 「四月盆回し出品の解説」(続) 予め記すが、朝の出がけに記すので一層書き殴りになる。ご了承を。 A19 元は白銅の薩摩天保 二十五年から三十年前にコイン店頭に出ていた時には、「真っ白」と「ほとんど白い」という風貌だったが、放置し…

◎古貨幣迷宮事件簿 「四月盆回しの品評(続)」

◎古貨幣迷宮事件簿 「四月盆回しの品評(続)」 さて、割合すぐに抽選会の〆切が来そうなので、なるべく早めに出品登録をしたいものだ。応札状況を見て、早期落札もあるので、対応の方も同様によろしくお願いする。 A14 千両駒 値下げ再出品。江戸の銭譜にも…

◎古貨幣迷宮事件簿 「K村さんと真っ赤な俯永の思い出」

◎古貨幣迷宮事件簿 「K村さんと真っ赤な俯永の思い出」 まずは古老の思い出話から。今や自分が古老の立場だ。 二十年くらい前、K村さんが古銭会で、一枚の寛永当四銭を盆回しの回覧に供した。 それを見ると、真っ赤で精微な俯永だった。すごくつくりがよい。…

◎古貨幣迷宮事件簿 「未勘銭について(続き) 八戸の常平通寶」

◎古貨幣迷宮事件簿 「未勘銭について(続き) 八戸の常平通寶」 ようやく収集に対する思い入れや執着心が消えた。ま、先を見越して収集品を手放したことで未練が無くなった。存命中に総ての処分を終えるコレクターはほとんどいないが、私がその一人になる。…

◎古貨幣迷宮事件簿 「公営銭座の金属材」

◎古貨幣迷宮事件簿 「公営銭座の金属材」 画像の品は、二十年くらい前、まだネットオークションが始まった頃に、静岡の古道具屋さんが出品していたものだ。その当時は蔵出し直後で、墨書きがはっきりしていた。 断片的にしか分からぬのだが(読めぬ)、「※※…

◎古貨幣迷宮事件簿 未勘銭の続き

◎古貨幣迷宮事件簿 未勘銭の続き ようやく硝子体出血が治まり、前が見えるようになった。 よってこれから整理を再開する。 これまで感謝バーゲンが半年に及んだが、次の盆回しでひと括りすることにした。 残りがかなり少なくなり、「※※カリ」とか「※※オク」…